2冠の記憶 - 2011/12

ダブル達成を果たした2011/12シーズン。誰もが記憶に新しい念願のトロフィーを手にしたあのシーズンを、いま一度振り返ってみよう。

 

「イングランドではリーグもカップ戦も優勝を経験してきた。それだけにチャンピオンズリーグは絶対に欲しかったんだ。これまでのフットボールキャリアの中でもとりわけ最高の気分だよ」フランク・ランパード 2012年5月

 

8月

ポルトを3冠に導いたアンドレ・ヴィラス=ボアス新監督のもと始動したチェルシー。プレシーズンをいい形で終えると、好調のままシーズンに入った。ストークとの一戦こそスコアレスドローに終わったが、WBA、ノリッチを相手に勝利。いずれも終盤10分のところで白星を手にしている。

 

4-3-3と4-2-3-1を使い分けたヴィラス=ボアス。「ミッドウィークの試合が入れば、選手同士の連携も良くなるだろう」とコメントした。

 

9月

チャンピオンズリーグ、カーリングカップが始まりミッドウィーク3試合を戦った9月。国内カップ戦ではフルハムを相手にPK戦を制し勝ち進む。一方で欧州ではレヴァークーゼン相手に2-0、ヴァレンシア相手に1-1で勝ち点を重ねた。

 

リーグ戦ではサンダランドをジョン・テリー、スタリッジのゴールで下すも、王者ユナイテッドには3-1の敗戦。3失点からトーレスが一矢報いるもシーズン初黒星は免れなかった。それでも続くスウォンジー戦には4-1で快勝、トーレスは得点も退場を喫した。

 

この日は2得点で大活躍だったラミレス。ヴィラス=ボアス監督は「結果を残したチームを評価したい」と振り返っている。

 

10月

リーグ戦ではゴールを量産。ボルトン相手にはフランク・ランパードのハットトリックもあり5ゴール。エヴァートンは3-1で下している。15年ぶりのロフタスロードでの一戦では、D.ルイスがPK献上に加え、前半で2人の退場。QPRを相手に9人で戦うも勝ち点は得られなかった。3日後にはグディソンパークにてカップ戦。スタリッジが延長戦で決勝点、10人のブルーズが白星をあげた。

 

続いてリーグ戦ではアーセナルとの一戦。残り10分で3-3とするも、最終的にはロビン・ファン・ペルシーが2ゴールで5-3の黒星を喫している。

 

11月

2週前には5-0で下したゲンク相手に1-1と引き分けたことで相変わらず本調子に乗れないチェルシー。イーウッドパークでは1-0と、開幕戦以来のクリーンシートを記録。しかしカップ戦では2敗で、国内カップ戦からは敗退することに。

 

リーグ戦、カーリングカップとリヴァプール相手に黒星が続くと、レヴァークーゼンにも敗戦。グループステージ最終節、ヴァレンシア戦では勝ちかスコアレスドローが必要となった。

 

12月

『生きるか死ぬか』と評したヴィラス=ボアス。ヴァレンシア相手に決勝トーナメント進出をかけた一戦では、ディディエ・ドログバが2得点の活躍。ラミレスもネットを揺らし3-0とし、ナポリとのベスト16に臨むことに。

 

リーグ戦でもニューカッスル相手に3-0の快勝。ここまで無敗のマンチェスター・シティを相手には、開始60秒で失点もラウル・メイレレス、ランパードのゴールで逆転勝利。首位まで勝ち点7差で3位につけた。「結果が出てなかっただけに、変化が必要だった。大一番で結果を残せたのは大きい」とヴィラス=ボアスは振り返っている。

 

それでもやはり安定感のないチェルシー。ウィガン相手に1-1と引き分けると、トッテナム、フルハム相手にも引き分け続き。大晦日のアストンヴィラ戦では3失点で黒星。シーズン折り返し時点で、シティと勝ち点11差の5位に沈んだ。

 

1月

2012年の幕開けには、ウルヴズ、サンダランド相手にフランク・ランパードが連続決勝点で好調を維持。FA杯もスタートすると、まずはポーツマス相手に快勝。2週間後にはマタのPKでQPRを下している。ノリッチ、スウォンジーとの試合は引き分け続き。終盤のオウンゴールで勝ち点を手にした。

 

2月

ユナイテッドの一戦では3得点でリードを奪うも、結局は追いつかれてしまう。さらにエヴァートン相手にも2-0の黒星。ヴィラス=ボアスは「シーズン最低のパフォーマンス」と振り返った。FA杯ではバーミンガム相手にドローで再試合に持ち越し。さらに欧州ではアシュレイ・コールとフランク・ランパードが外され、ジョン・テリーは負傷離脱の中ナポリとの一戦に臨むと、マタのゴールで先制も3-1の逆転負け。誰もがチェルシーの敗退を予想していた。

 

3月

続くウェストブロム戦にも敗れると、ついにヴィラス=ボアスが解任。チャンピオンズリーグ敗退の危機に加え、リーグ戦ではシティとの勝ち点差が20にまで開いていた。

 

新監督にはディ・マッテオが就任。「まだまだこのチームで戦える」とコメントしたディ・マッテオ。まずはカップ戦再試合でバーミンガムを下すと、ストーク相手にも白星。そしてついに欧州でのドラマを迎える。ドログバ、復帰のジョン・テリー、ランパードがネットを揺らすと、延長戦に突入した試合を決めたのはイヴァノヴィッチ。試合終了のホイッスルとともに、かつてのチェルシーが帰ってきたのを感じた瞬間だった。

 

FA杯でもレスターを5-2で下し好調を維持。リーグ上位4位以内のフィニッシュは最低目標だったチェルシーだったが、シティに黒星、トッテナムにも引き分けてしまう。それでもアストンヴィラ相手には4-2の勝利。トーレスもリーグ戦9月以来となるゴールを決めた。欧州ではベンフィカ相手にカルーのゴールで1-0の勝利。準々決勝突破をかけた一戦はスタンフォードブリッジでの激突に委ねられた...

 

4月

10人のベンフィカ相手に勝利すると、バルセロナの待つ準決勝へ。リーグ戦ではウィガン相手に勝利、フルハム相手に引き分け。FA杯ではトッテナムを5-1で下し勢いに乗った。この日ゴールを決めたランパードはこの試合を「ふさわしい結果。チャンピオンズリーグでもこの調子を維持したい」と振り返っている。

 

バルセロナとの一戦に向け調子を整えたチェルシー。まずはドログバのゴールを守りきり1-0の勝利でカンプノウへ。第2戦では退場者を出し圧倒的不利な状況の中から逆転で決勝行きの切符を手にした。この日ゴールを決めたのはラミレスとトーレス。メッシのPKミスにも助けられ、ついに念願の舞台へと駒を進めたのだった。

 

「あらゆる状況が不利に働いた」と振り返るディ・マッテオ。「厳しいシーズンを戦ってきた選手たちだ。やるときは必ずやってくれる。これがこのチームのDNAなんだ」とコメントした。

 

QPR戦では6-1の圧勝。トーレスもハットトリックで好調を維持した。

 

5月

ニューカッスルに2-0で敗れ、トップ4でのフィニッシュの望みが潰えたチェルシー。バイエルン相手のチャンピオンズリーグ決勝に勝たなければ、翌シーズンの同大会出場権は得られない状況に追い込まれた。しかしまずはウェンブリー、リヴァプールとのFA杯決勝から。ラミレスが先制ゴールを決めると、やはりドログバがネットを揺らしリードを広げる。キャロルが一矢報いるも、チェフのファインセーブに助けられシーズン初めてのトロフィーをついに手にする。これで6シーズンで4度目の優勝としたFA杯。またもウェンブリーはチェルシー色に染まったのだった。

 

ついに迎えたアリアンツ・アレナでの一戦。バイエルンのホームスタジアムで、2度目の欧州大会決勝に臨んだ。リーグ戦ではリヴァプールに負け、ブラックバーンに勝ったことでここ10年で最低の6位に終わったが、全員の注目はこの日に集まっていた。

 

ジョン・テリー、イヴァノヴィッチ、ラミレス、メイレレスを出場停止で欠いたディ・マッテオは、ベテラン勢に加えデビュー戦となるライアン・バートランドを起用。ダヴィド・ルイス、1月加入のギャリー・ケイヒルもスタメンに顔を並べた。キャプテンのランパードを中心に、バイエルンの猛攻をしのぐチェルシー。しかし残り10分もないところでトマス・ミュラーがついに先制点を決める。しかしドログバが頭で同点とすると、試合は延長戦へ突入する。結局試合は動かず、決着はPK戦へ。年間最優秀選手のマタが1本目を外すも、チェフが2本をセーブ。最後はドログバが決めてついに歓喜の瞬間を迎えたのだった。

 

「最後の3ヶ月、これだけのことが起こるなんて誰も予想できなかったはずだ」と振り返るディ・マッテオ。「厳しい戦いだったが、最高の形で幕を降ろせたね」と続けた。

 

一度はどん底まで落ちたシーズンだったが、終わってみればロマン・アブラモヴィッチ氏就任以来の栄光を手にすることに。チェルシーフットボールクラブが、ついに欧州王者に輝いた。

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