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エデン・アザール - チェルシーでのキャリア

エデン・アザールのレアル・マドリッド移籍が合意に至ったことを受け、チェルシー公式Webサイトはアザールのキャリアを振り返る。

エデン・アザールがチェルシーで過ごした輝かしいキャリアが終わりを迎える。アザールが7シーズンでスタンフォードブリッジへ残した多くのタイトルはもちろん、類稀なそのスキルやスピード、そしてアザールの笑顔は決して忘れられることはないだろう。

デビューシーズン

プレミアリーグデビューは2012年。当時21歳のアザールが輝くまでに要した時間はわずか6分だった。晴れた8月のウィガン戦、アザールは守備陣を切り裂くパスでブラニスラヴ・イヴァノヴィッチのゴールをアシストすると、その後はドリブル突破からPKを獲得。これをフランク・ランパードが決めている。

エデン・アザールのプレミアリーグデビューは?
2012年8月19日 DWスタジアムでのウィガン戦

特徴的な数字は被ファウル数だ。プレミアリーグの守備陣はアザールを止めるためにファウルを犯すシーンが多々あった。

プレミアリーグにおいてアザールがファウルを受けた回数は通算638回。同期間では他の選手と比較して40%以上も多い数字だ。多くのファウルを受けたアザールだが、やはり相手ゴール前では持ち味を発揮。2012年以降のリーグ戦では595回のチャンスを作り出している。

アザールのスタンフォードブリッジデビューと初ゴール

スタンフォードブリッジで行われたレディング戦でもPKを獲得するなど、またもランパードやイヴァノヴィッチのゴールに貢献。3日後のニューカッスル戦ではPKからチェルシー初ゴールを決めた。アザールは合計31回のPKを蹴り、そのうち26回を成功させている。2015年5月のクリスタルパレス戦ではPKを一度は防がれるものの、リバウンドを頭で押し込みチェルシーのプレミアリーグ制覇を決定づけた。

アザールとマタの「特別な関係」

ファン・マタとも良い関係を築いたアザール。2012/13シーズンにはノリッチ戦(4-1)、トッテナム戦(4-2)、マンチェスター・ユナイテッド戦(5-4)、アストンヴィラ戦(8-0)、サウサンプトン戦(5-1)、ストーク戦(4-0)などでこのコンビが勝利に貢献している。

息を飲むようなゴール

アストンヴィラやストーク、マンチェスター・ユナイテッド(FA杯)、そしてウェストハム相手の勝利はアザールの得点への嗅覚を証明するものだった。

ヨーロッパリーグでもアザールは活躍。ホーム、スパルタ・プラハ戦では途中出場から終了間際にネットを揺らし、ラウンド16への切符を掴み取っている。アムステルダムでの決勝戦にはハムストリングの怪我のため欠場したアザール。しかしアストンヴィラとのリーグ戦ではランパードのクラブ歴代最多ゴールをアシストしている。

デビューシーズンの記録

このシーズン、アザールは62試合に出場し13ゴール19アシスト。その活躍が認められ、PFA年間最優秀チームにも選出された。

 

アザールのセカンドシーズン - 2013/14

チェルシーでのセカンドシーズンにはクラブ年間最優秀選手に選ばれている。

個人賞の受賞も納得の活躍。アザールは2013/14シーズン、アーセナル、リヴァプール、トッテナム、PSGといったビッグチームを相手に躍動。プレミアリーグやチャンピオンズリーグでも優勝に迫った。アザールはシーズン49試合17ゴールを記録した。

チェルシーでのベストパフォーマンス?

リーグ制覇を果たしたマンチェスター・シティ相手にアウェイで1-0と勝利したチェルシー。アザールはこの試合でも躍動し、ニューカッスルではチェルシー加入後初のハットトリックを達成。しかし、アザールのベストパフォーマンスといえばサンダランド戦だろう。

2013年12月、寒空のスタジアム・オブ・ライトで行われたサンダランド戦。試合はブルーズが4-3で勝利したが、注目を浴びたのはアザールだ。この試合で2ゴール1アシストの活躍を見せると、サンダランドのサポーターでさえも拍手を贈ることに。

このシーズンはタイトルなしで終えたチェルシーだが、アザールはPFA若手年間最優秀選手賞、PFA年間最優秀チームに輝いた

2014/15シーズン

そして迎えた2014/15シーズンはアザールにとっても、チェルシーにとっても素晴らしい1年となった。

チェルシーは3試合を残してリーグ優勝を決め、リーグ杯でも頂点に立った。アザールは54試合中49試合に先発出場し、その全てでレベルの高いパフォーマンスを見せた。

90分を通して注目を集めるアザールのプレーは、ジョゼ・モウリーニョ率いるチェルシーの成功の中心にいた。アザールは試合を重ねるごとに成長を続けた。

新加入のディエゴ・コスタやセスク・ファブレガスとのコンビネーションからチャンスを量産したアザール。そこにオスカーやウィリアンも加わり、スタンフォードブリッジは歓喜に包まれた。2月から4月にかけてはアストンヴィラ、ウェストハム、ハル、QPRとのアウェイゲームで輝き、4連勝に貢献した。

その翌週、ホームで迎えたマンチェスター・ユナイテッド戦ではこの試合唯一のゴールを決めたアザール。続くクリスタルパレス戦で決めたゴールはプレミアリーグ制覇を決定づけるものとなった。

2014/15シーズンの記録

このシーズンには19ゴール11アシストを記録したアザール。2年連続でクラブ年間最優秀選手賞を受賞している。さらにその活躍は他の選手にも認められ、チームメイトが選ぶ年間最優秀選手賞、選手協会選出のPFA年間最優秀選手賞に輝いた。さらにはメディアが選ぶFWA年間最優秀選手、プレミアリーグ年間最優秀選手にも選ばれた。もちろん、チェルシーの選手が単一シーズンでこれだけの個人賞を獲得するのは初めてのことだ。

2015/16シーズン

しかし2015/16シーズンは苦しい展開に。負傷離脱があり、自信を失ったアザールがプレミアリーグでオープンプレーからネットを揺らすのは4月になるまで待たなければいけなかった。

それでも重要な試合で結果を残したアザール。ホームに迎えたトッテナム戦では貴重な同点ゴールを決め、結果としてトッテナムが優勝を逃し、レスターのプレミア初制覇が決まっている。このゴールはクラブ年間最優秀ゴールに選ばれた。

チェルシー年間最優秀ゴール賞に3度輝いたエデン・アザール
2015/16(v トッテナム)、2016/17(v アーセナル)、2018/19(v リヴァプール)

さらにアンフィールドでは個人技からネットを揺らすなど本調子を取り戻したアザール。EURO2016でもベルギー代表としてプレーしている。そして翌シーズン、チェルシーは再びプレミアの頂点に。

アザールとアントニオ・コンテ

アントニオ・コンテ政権では序盤こそ安定感を欠いたものの、3-4-3へのシステム変更でチームは激変。アザールもマルコス・アロンソととの左サイドのコンビで勢いを取り戻し、クラブ記録となった13連勝を7ゴールで支えた。この快進撃でクリスマス前には首位に立つと、優勝まで走り抜けた。アザールはマンチェスター勢相手にもネットを揺らす大一番の強さも見せている。

年が明けて2月、アザールはアーセナル相手に衝撃のゴールを披露。ハーフウェイラインでボールを得たアザールは、次々にアーセナル守備陣をかわし、最後は元チームメイトのペトル・チェフも破ってのゴール。これはクラブの年間ベストゴールにも選ばれた。

タイトル獲得が近づいたマンチェスター・シティ戦では2ゴールで2-1の勝利へとチームを導いている。その活躍はプレミアリーグだけにとどまらず、トッテナムとのFA杯準決勝でもゴールを決めて4-2の勝利に貢献した。

決勝でのアーセナル戦でこそ敗れたものの、自身2度目となるプレミアリーグ優勝は逃さなかった。また3度目となるクラブの年間最優秀選手賞にも選ばれている。

2017/18シーズン

その夏、代表戦での怪我でチームのへの合流は遅れたが、復帰後はすぐにその真価を発揮。2017/18シーズンは得意の左サイドからトップ下にワントップなど、ポジションを変えながらプレー。

アザールの決勝戦

ユナイテッドとのFA杯決勝ではオリヴィエ・ジルーと並んで前線に入り、接戦を制している。決勝点となったのは、やはりアザールのプレー。おなじみの鮮やかなファーストタッチからスピードに乗ると、フィル・ジョーンズのファウルを誘ってPKを獲得。これを自ら決めて、自身のチェルシー300試合出場をFA杯のタイトルで祝している。

2018年のW杯で躍動したベルギー代表

昨夏、ロシアでのW杯ではベルギー代表の主将として、大会MVP次点に選ばれる活躍で、チームを準決勝へと導いた。チェルシー在籍時代でアザールは代表72キャップ、28ゴールを記録している。

アザールのラストシーズン

チェルシーでのラストイヤーは、ゴール(16)にアシスト(リーグ最多タイの15)とプレミアリーグで自己最高の記録を残し、3位フィニッシュに貢献した。ボクシングデイのワトフォード戦ではチェルシー歴代10人目となる通算100ゴールを達成。まずは1対1を制してネットを揺らすと、決勝点となるPKも沈めている。

アザールの活躍はこれだけにとどまらず、カーディフ戦では2度目のハットトリックを達成。シティ戦ではアシストを2本、そして指折りのファインゴール2発など随所で輝きを放った。

エデン・アザールはチェルシーで2度のハットトリックを達成
2014年ニューカッスル戦、2018年カーディフ戦

その2ゴールはいずれも個人技が光ったアザールらしいゴール。スピードに乗ったドリブルで狭いスペースを縫うように入り込み、豪快にネットを揺らしている。まずはカラバオ杯リヴァプール戦、そして2点目はホームのウェストハム戦でのものだ。なおリヴァプール相手のゴールは年間ベストゴールにも選ばれている。

2014年、2015年、2017年とファン投票による年間最優秀選手賞にも選ばれたアザールは、クラブ史上初となる4度目の受賞も受けている。チームメイトの投票による年間最優秀選手賞にも選ばれ、クラブの全タイトル3冠達成の偉業を成し遂げた。

スタンフォードブリッジでのラストゲーム

スタンフォードブリッジでの最後のひと蹴りは、フランクフルト戦での勝ち抜けを決めたPK。さらに決勝でも大活躍で、チェルシーでのキャリアを有終の美で飾っている。

その決勝、アーセナル戦では後半になってその勢いが爆発。2-0とするペドロのゴールをアシストすると、まずはPKでチェフを破り追加点。そして最後はチームワークからダメ押しのゴールを決めている。

チェルシーでの成績

これで対アーセナル戦は通算7ゴールとし、ボーンマス、ウェストブロム、ニューカッスルと並び特定チーム相手の最多ゴール数を記録。2つのプレミアリーグ、2つのヨーロッパリーグ、FA杯にリーグ杯を手に、ついにチェルシーを去る時がやってきた。

結果を出し続けたアザール

プレミアリーグで7年間プレーしたアザールは、安定してチームに貢献。この期間の出場試合数245は、ダヴィド・デ・ヘアに次いで2番目、ゴールに絡んだ数(85ゴール54アシスト)、枠内シュート数は4位、勝利数(145勝で勝率60%弱)は2位という数字だ。

チャンス演出数と被ファウル数は最多、ドリブルは900回以上成功で、続く選手に50%以上の差をつけている。アザールがボールを持てば、ほぼ間違いなく相手をかわしているという裏付けだ。

「本物のレジェンド、本物の勝者...」

コブハムではその愉快な人柄も垣間見え、ジョークを飛ばして笑顔を見せる姿はトレードマークにもなった。ピッチでの活躍については言わずもがなだ。セスクの言葉を見れば、同じピッチでプレーしていた選手たちの思いも分かるだろう。

現地観戦、テレビ観戦を問わず、その魅力的なプレーは変わらない。鮮やかなタッチ、身体のバランス、勢いのあるスピード。巧さ、美しさ、そして決定力。スポーツの持つ美しさを体現した存在だった。

2012年の夏、アザールは当時最も注目を浴びていた若手のひとりとしてチェルシーで加入。Twitterにて、育ちのクラブ、リールを離れてチャンピオンズリーグ王者への加入が発表された。あの日から、アザールはチェルシーに数々の足跡を残してきた。

エデンはチェルシーのレジェンド、タイトルコレクターとしてクラブを去る。今後のキャリアの、ますますの活躍を祈っている。

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