決勝で西ドイツに1-0で敗れ、1990年のW杯はアルゼンチン国民にとって苦い記憶となっただろう。しかし幼きウィリー・カバジェロにとっては、プロを夢見る大きな転機となったようだ。
チェルシーFCの公式マッチデイプログラムにて、カバジェロが自身の代表キャリアを振り返った。
90年イタリア大会の悲劇
1990年のワールドカップを見て、フットボールに惚れ込んだんだ。もちろん辛い思い出だったけどね。
1986年の優勝はよく覚えていない。まだ4歳だったし、楽しんだとは言えないからね。それで90年のイタリア大会だよ。フットボールをより身近に感じた。
テレビに齧り付くように試合を見たんだ。アルゼンチン代表も好調だっただけに、決勝の西ドイツ戦は本当に辛かったよ。
残り5分のPKで負けるなんて、本当に悲しい負け方だった。アルゼンチン代表、それにマラドーナにとってもさらなるタイトルのチャンスだったからね。あの日はひたすら泣き続けて、父親からも慰めてもらっていた。スポーツへの情熱を持っている人なら、理解してもらえると思う。
母国のために
最終的には残念だったけど、あの大会をきっかけにフットボーラーを目指すようになった。決勝の前にみんなで国歌斉唱しているのを見て、"自分もあの場所に立ちたい"って思うようになったんだ。
アルゼンチン国歌はすごく情熱的で、歌詞も深い。フットボール、バスケ、ラグビーといった人気スポーツに国歌は欠かせないんだ。W杯のような大きな大会だと、応援する側も気合いが入るからね。
あれで国のために戦うぞって気持ちになって、一緒に何か成し遂げようって一体感が生まれる。
フットボール好きの子供なら、U17南米選手権、それからU20、続いてコパアメリカにW杯と追うようになる。どれも国のために戦う大会だ。アルゼンチンの伝統だよ。
U20ワールドカップ優勝
あの決勝をテレビで見て、いつか世界の頂点に立ちたいと思うようになった。もちろんかなり険しい道のりだけど、それから数年後、U20W杯が2001年にアルゼンチンで行われて、自分は決勝の舞台に立てたんだ。
国旗が掲げられて、あの国歌が流れる。信じられないよ。あの日のことはよく覚えている。U20W杯を優勝したんだ。まだ子供だった頃に夢に見ていた舞台だった。それが現実になったんだ。誰にでもチャンスはあるんだよ。