熾烈なタイトル争いが繰り広げられた2004/05シーズン、チェルシーは分岐点とも言うべきブラックバーン戦を迎えた…
リヴァプール相手に勝ち点3も手にし、続くアウェイゲームでも楽勝ムードと思われたチェルシー。しかし北西遠征となったブラックバーン戦、そして続くエヴァートン戦は想像以上にタフな展開となった。
2月上旬の寒さが堪えるイーウッド・パーク、ブラックバーンとの一戦は文字通りぶつかり合いとなった。
プレミアリーグの最長無失点記録更新まであと4分に迫っていたペトル・チェフだったが、ポウル・ディコフのプレーでジョン・テリーがあわや負傷退場など雲行きは悪かった。
テリーはプレー続行となったが、アリイェン・ロッベンはそうならず。プレシーズンでも負傷し、ようやく復帰し好調ぶりをアピールしていたにも関わらず、アーロン・モコエナのファウルで戦線離脱を余儀なくされてしまう。
それでもロッベンのゴールで先制していたチェルシー。モウリーニョは試合後「あのゴールの後を見ただろう」とコメント。「特別な選手だから、あそこまで狙われてしまうんだ」
徐々にブラックバーンのペースに飲まれていくも、ディコフのPKをチェフが止めるなど、堅守ぶりを発揮。
結局追加点は生まれなかったものの、テリーとディコフのやり合いなど、試合内容以上に見どころのある一戦となった。
「フットボールをするんじゃ勝てないと思ったから、ああいうやり方をしてきたんだろう。選手を脅すようなプレーだった」とモウリーニョは振り返っている。
「我々はフットボールをしに来たんだが、どうやら向こうは格闘技のつもりだったようだ。だがこちらも気持ちを持って、堅い守備で迎え撃った。みんなが戦っていたね」
「遠征してぶつかり合うことも厭わない。選手はそういう姿勢を見せてくれたし、ファンも素晴らしい声援だった」
この結果に喜びを爆発させた選手たちは、モウリーニョが先導しアウェイスタンドへユニフォームを次々に投げ込んだ。
このあとマンチェスター・シティと0-0の引き分けを挟み、今度はグディソン・パークでの決戦を迎える。
すると開始わずか8分、ウィリアム・ギャラスをタッチライン側で追ったジェイムズ・ビーティが、背後から頭突き。これには主審マイク・ライリーも迷わずレッドカードを提示するのだった。
しかしながら、状態の悪いピッチに10人で引いて守るエヴァートンをなかなか崩せないチェルシー。それでもギャラスのヘディングがクロスバーに当たると、そのボールに詰めていたグジョンセンが押し込んで待望の先制点が生まれる。
このまま逃げ切ったチェルシーは、12ポイント差をつけ独走体制。チェフの無失点記録も1040分にまで延びたのだった。
「誰もが勝ち点を落とすことを願っていたはずだ。だがそうはいかない」と振り返ったグジョンセン。「自分たちのやるべきことをやり、ユナイテッドやアーセナルにプレッシャーをかけ続けるよ」