5月に入り、霧の都ロンドンもすっかり春の陽気となりました。最近は気温が20度を超えることも珍しくなく、チェルシー色の美しい青空が毎日のように続いています。
この時期を迎えると思い出すのが、昨年の同じく5月に実現した夢のような出来事。にわかには信じてもらえないかもしれませんが、なんとチェルシーのプレスカンファレンス(記者会見)に出席するという衝撃的な体験をさせて頂きました。
その時のエピソードや撮影した写真は、個人の思い出としてこれまで特に公開してきませんでした。それが今回、クラブから直々に許可を頂いて紹介できることに! 完全な予想外で、感動の全てを共有するには写真の質、枚数とも不十分ですが、普段なかなか見られない記者席の様子が少しでも伝われば幸いです。
お邪魔させて頂いたのは、昨シーズン最後のホームゲームである2019年5月5日のワトフォード戦(3-0でチェルシーが勝利)。記者席はイーストスタンドの中頃に位置しており、まずメディア専用の入り口で入場パスと手荷物のチェックを済ませます。そしてゲートを通り最初のドアを開けると――
テレビでよく見るあの会見場がいきなり現れます。当然と言えば当然ですが、室内にいるのはいつもソーシャルメディアや新聞等でフォローしている有名なジャーナリストの方ばかり。クラブのレジェンド的なスタッフも見かけ、現実とは思えない光景でした。
個人的に以前から疑問に思っていたのが、「マッチデイのプレスカンファレンスは試合後。では、記者の方たちは試合前に何をされているのだろう?」ということ。もちろん取材の準備をしているのでしょうが、入り時間が非常に早い方がいることを知っていたので、キックオフまで具体的にどのように過ごされているのか気になっていました。
その謎が解けました! ずばり、食事です。
全体像の写真を撮らなかったことを悔いていますが、会見場ではビュッフェスタイルで“記者メシ”がふるまわれています。ドリンク、サラダ、フルーツ、チーズ、スープ、イモやパスタといった主食系、肉料理…など、隣接のミレニアム&コプソーンホテルで提供されているビュッフェがそのまま運ばれてきたのではないかと思うようなメニューが並んでいました。
ちなみに私が頂いたのはこの3種類。
温野菜、チキンとマッシュルームのソテー、そしてクリームソースがかかったチーズ入りのニョッキ。味も見た目の美しさを反映した通りホテル級でした。他クラブのプレスカンファレンスに出たことがある方の話によると、サンドイッチなど軽食系だけという例も珍しくないそうです。人づてに何となく聞いていた「チェルシーの記者メシは特別に美味い」という噂は本当でした。
そのまましばらくランチ休憩のような時間が続いた後、先発のメンバー表とマッチデイ・プログラムが手元に。ついに記者席へ向かいます。奥の扉を開けてすぐ、言葉を失いました。
なんという眺めでしょう。まさしく夢の景観です。椅子の前には横一直線に続いたデスクがあり、テレビの映像を確認できるモニターが付いています。
シーズン最後のホームゲームだっただけに選手は家族を連れてきており、最高の試合に試合に加えて、最高にほほえましいファミリーの姿を見ることができました。
試合が終了すると、記者の方たちは一斉に会見場に戻り、この日一番の緊迫感に。いよいよプレスカンファレンスです。
この試合でギャリー・ケイヒルがスタンフォードブリッジでのラストゲームを迎えて胴上げされたこともあり、彼に関する多くの質問が投げかけられました。
その後は揃ってミックスゾーンへ行くと思っていましたが、ほとんどの方はプレスカンファレンス終了とともに切り上げ。理由を尋ねると、ミックスゾーンでしっかり話を聞けるチャンスは滅多にないらしく、この時はブラジルのテレビ局と思われる1グループだけがそこにいました。
それでもわずかな望みを胸に選手を待っていたところ、何人かが問いかけに応じてくれ、特にダヴィド・ルイスに関してはかなりじっくりと質問に答えてくれました。あの時の感激は一生忘れられません。
こうして夢のような一日は終了。振り返れば、最初は受け入れて頂いたことが恐れ多くてとにかくガチガチに緊張していましたが、美味しい食事、最高の環境、終始手厚いスタッフの方々の待遇と、逆に「お越し下さりありがとうございます」と言われているような気分にさえなる取材体験でした。こういったところにもチェルシーというクラブの素晴らしさを感じます。
なお、試合がない日であれば、会見場にはスタジアムツアーで入ることができます。ステージのインタビュー席に座って写真を撮ることも可能なので、渡英の際はぜひツアーに参加してみてはいかがでしょうか。