インタビュー

ペトル・チェフとチェルシー - PART1

チェルシーの歴史に残るゴールキーパーであるペトル・チェフの、特別インタビュー第1弾をお届け。今回は現在のクラブでの役割や、スタンフォードブリッジへやって来た経緯、カルロ・クディチーニに代わって正ゴールキーパーを務める重圧などを語った。

2004年2月、チェルシーは21歳のGK、ペトル・チェフをフランスのレンヌから700万ポンドで獲得した。これが、クラブの歴史を彩る新時代の幕開けのとなったのだった。

当初、レンヌとの獲得交渉は難航していた。レンヌのオーナーは億万長者のビジネスマン、フランソワ・アンリ・ピノー氏で、欧州のトップクラブから注目を集めていたチェフを売却する意向は無かった。

「チェルシーが獲得に乗り出して、あれだけの将来性と野心のあるビッグクラブだったから、移籍したかったんだ」と振り返るチェフ。

「最終的には自分もクラブに合意に向けて後押ししたんだ。チェルシー はカルロ・クディチーニが怪我した時のバックアップも兼ねて、1月での獲得に動いていた。でもピノー氏は許さなかった。移籍するならシーズンが終わってから、ということになったんだ」

「だから自分は移籍するのが分かった状態で5ヶ月間、プレーを続けた。よりしっかり準備できたね。英語の勉強も頑張ったよ。チェルシーの試合も全部見て、プレースタイルや個々のプレーを研究したんだ」

「クリストフ(・ロリション。レンヌ、チェルシーでチェフのゴールキーパーコーチを務めた)と一緒に、とにかく上を目指していったね。できるだけ強く、できるだけフィットした状態作っていったんだ」

「だから2004年7月に実際加入した時、どこか知ったような感覚があったね。フィジカル面でも出来上がってたし、いつでもチャレンジできる状態だった。あれは一歩リードって感じだったよ」

さらにジョゼ・モウリーニョ監督の就任も追い風となった。クラウディオ・ラニエリ政権では不動の正ゴールキーパーだったクディチーニは、チェフ曰く””イングランドでプレーする最高のゴールキーパー”だったが、モウリーニョのもと”誰もがゼロからのスタート”となったのだ。

チェフはアメリカでのプレシーズンでその存在感を披露し、新監督のもと正ゴールキーパーを任されることになる。

「ロンドンに戻る前のアメリカで、ユナイテッドとの開幕戦でスタメン起用されることを知ったんだ」と振り返るチェフ。

「それでなおさら準備に身が入ったね。金曜日や土曜日に、日曜日プレーすることを聞いても気にはしないよ。常に準備はしているからね。でも自分が選ばれるのかどうか、不確定な部分を排除できた。これで少しプレッシャーからも解放されて、このチャンスを逃すまいとなったんだ」

それでもチェフにのしかかったプレッシャーは、ファンからの人気も高く、クラブの歴史でも指折りのベテラン正ゴールキーパーにとって代わるだけのパフォーマンスが残せるかというものだ。

「ジャンフランコ・ゾラのトリビュートマッチでサラゴサと試合したとき、ウォームアップに出るとスタンドからは”カルロ!カルロ!”って聞こえてきたんだ」

「でもスタメン起用されないって発表されると、ファンはまた元気付けるように歌い始めたんだよ。すごい声量で、感じるものはあった」

「プレッシャーになったよ。もしこれで自分が満足いくパフォーマンスを残せなかったら、すぐにスタメン落ちだ。カルロはずっとここでプレーしてきて、いつだって取って代われる。監督も簡単に決断できるはずだ」

「それがパフォーマンスの源になった。日々緊張感を持ってやらないと、すぐにベンチ行きだってね」

「負けることもあるとは意識していたが、気にするほどのことじゃなかった」

photo of ペトル・チェフ ペトル・チェフ

そのユナイテッド戦をクリーンシートで凌ぎ、1-0の勝利に貢献。「最初のクロスをしっかりキャッチし、いい試合にした」と話すのは、当時にゴールキーパーコーチ、シルヴィノ・ロウロだ。「あれで未来が決まった」

「もう前に進むだけだった」と話すチェフ。それから優勝が決まるまでリーグ戦全試合でスタメンをキープし、35試合で24のクリーンシートを記録する。失点わずか13で、12月12日から3月5日にかけては1024分間、11試合以上に及び無失点を記録した。

「クリーンシートの度に、チームの自信は高まっていった。得点すれば、もう勝ったと感じるほどだった。なぜなら失点しないからね。勝てば勝つほど、集中力も高まるんだ。とにかく勝ち続けることを楽しんでいた。負ける恐れなんてなかったよ。全員にその自信が漲っていた」

「ここでプレーすることが夢だった。だからトップクラブで、世界最高のクラブで正ゴールキーパーとしてプレーするのは、夢の中にいるようだったよ。プレッシャーは覚悟していたけど、それこそ望んでいた環境だった。チャレンジすることを楽しんでいたね」

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