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パット・ネヴィン:ランパードは何か特別なものを築き上げている

チェルシーはようやくシーズンを終え、やっと過去12か月を振り返ることができる。元ブルーズのパット・ネヴィンは、スタンフォードブリッジにまた素晴らしい時代が到来する基盤が築かれつつあると信じており、その理由をこのウィークリーコラムで説明している。

長かったシーズンが終了し、何人かの選手は惜しまれつつもチームを去ると同時に、長年にわたるクラブへの貢献を称賛されるだろう。ウィリアンとペドロは、共に素晴らしい活躍を見せ、チェルシーでプレーした時期が彼らにとって全盛期であったかどうか議論されるだろう。ウィリアンはまさにそうだったし、恐らくペドロもそう言えるかもしれない。

同じことが12か月前にチームを去ったエデン・アザールにも言えるだろう。彼は5年にわたってチェルシーを象徴した小柄な攻撃陣を大行する存在だった。私を含めチェルシーでプレーした選手は、クラブ、スタッフ、そして何よりもファンのことを心の中に刻んでいる。

それは退団した選手たちの感情的な言葉からも容易に感じ取れることで、彼らはここで過ごした時期のことを一生忘れないだろうし、そうあるべきだろう。

一度チェルシーという家族の一員になれば、その血さえもブルーになるのである。

しかし、先に進むときが来た。来シーズンに向けてティモ・ヴェルナーとハキム・ツィエク、そしてその他の選手が加入し、新たなチームが生まれ、ファンは期待に胸を膨らませているだろう。フランク・ランパードが監督に就任して以来、今シーズン「予想以上の結果」という言葉が過剰に使われており、それはシーズンが終了した今でも続いている。

半分空という「コップの水」理論を使って、FAカップ決勝で敗退し、チャンピオンズリーグも7-1の大敗に終わったことで、低迷したシーズンだったと総括することもできるかもしれないが、サッカーを知るものは誰もがそのようなことが正しい評価でないことを理解しているだろう。メイソン・マウント、タミー・エイブラハム、リース・ジェイムズ、カラム・ハドソン=オドイ、そしてビリー・ギルモアの台頭、そしてさらに重要なことに、彼らのこれからの伸びしろを考えれば、今シーズンがチェルシーの新たな黄金時代の礎となったと実感することができるだろう。

クリスティアン・プリシッチとヴェルナーが並ぶ来シーズンのチームの平均年齢は、どのクラブも注目し、羨望の眼差しで見るだろう。ランパードは若手選手を果敢に起用し、彼らにチームの命運を託し、彼らを育成することに成功した。彼ら自身も、下部チームから昇格した選手をここまで大切にする監督、そしてクラブはいないことを理解しているだろう。

そんな中、ベテラン選手を疎かにしないことが重要だ。オリヴィエ・ジルー、セサル・アスピリクエタらの今シーズンの活躍は驚異的なものであり、彼らに対して今シーズンまでだけでなく、来シーズンに向けて敬意を表するべきだ。

シーズンを通して、オリヴィエの姿勢と復調ぶりは見るものを魅了し、一流のプロとはどのようなものかについて、若い選手たちに大きな刺激を与えてくれるはずだ。デイブは、そういう意味で私を驚かせてくれた。間違いなくチェルシー、そして彼のキャリアで最高のシーズンを過ごし、ここ数年の中で最高級の補強となった。

多くの収穫があったシーズンだったが、まだまだやるべきことは残っている。特にディフェンスの強化は誰もが指摘する課題である。中盤から攻撃陣は非常に充実しており、多くの補強は必要ないと思われるが、ディフェンスに関してはそうはいかない。

「フランクは若手選手を果敢に起用し、彼らにチームの命運を託し、彼らを育成することに成功した。」

photo of パット・ネヴィン パット・ネヴィン

ほぼすべてのクラブが、ボールを扱うのが得意な頼りになるセンターバックの補強を検討している。スペインのビッグクラブであるレアルやバルサからマンチェスター・ユナイテッド、そして先週まではマンチェスター・シティまで、このポジションが最大の課題となっているようだ。いったい何が起こっているのか?今までは、シーズン開幕前どのクラブも創造的で決定力のある選手を見つけること躍起になっていたはずだ。

リヴァプールがフィルジル・ファン・ダイクに、そしてユナイテッドがハリー・マグワイアにいくら支払ったかを見れば、トップレベルでのディフェンダーの需要と供給に大きな問題があることがわかるだろう。誰もが今、適切なディフェンダーを探しているのだ。

トップクラブの監督には、ある程度同情してしまう。シーズンが終わり、ストレスや緊張、24時間365日のプレッシャーから一息つけると思ったとき、一瞬でも目を離すと、チームに大きな変化をもたらす可能性のある選手がライバルに取られてしまうからだ。しかし、休憩は非常に重要であり、監督やスタッフ、そして選手が回復する間、もちろんクラブではスカウト人が地球上の新たな人材を探し回る。

フランクは、まだこの冒険を始めたばかりだと自覚しているだろうから、すぐに戻ってきたいとうずうずしているだろうと思う。今シーズンを振り返ってみると、それは冒険のように感じた。エキサイティングで、予想できない、すでに成功を収めているが、もっと可能性がある、そんなシーズンだた。フランクが指揮を執っている間は、決して退屈することはないだろう。彼はポジティブで勝者のメンタルを持っており、チームに他の方法を強いることはできない。

ベスト4に入りチャンピオンズリーグ出場権を獲得し、若い選手が何人も台頭し、カップ戦では決勝戦に進出し、国内のトップチームを全て倒すことは素晴らしい成果ではあるが、それらはフランクがチェルシーのサポーターをよりクラブに惹きつけた、という功績には全く及ばないと感じる。

トロフィーこそなかったが、私はチェルシーの今シーズンの試行錯誤を大いに愉しむことができた。これがチェルシーであり、私たちのアイデンティティであり、こうありたいと思う。だから、今シーズンのチェルシーに感謝したい。来シーズンも同じように我々を楽しませてくれることを、そしてファンが一刻も早く無事にグラウンドに戻ってくることを願うばかりだ。それがチームにとって、どの選手よりも大事な補強となるだろう。

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