分析

チェルシー2019/20シーズンのまとめ

史上最長となった今シーズンは様々な意味で末永く語り継がれる、話題に事欠かないものとなった。一年間試合を分析し続けたクラブの歴史に精通するリック・グランヴィルとデータ収集家ポール・ダットンが、今季チェルシーの成功と挫折の軌跡を振り返る。

普通のシーズンだったら、トッテナム、アーセナルの連勝や、アヤックスとの激闘、リヴァプール、マンU戦での勝利、ウルブス、バーンリー戦でのハットトリック、そしてVAR問題などがファンの記憶に残るところだろう。

しかしメインとなる話題は、コロナウィルスによるロックダウンの影響で、チェルシーのシーズンが2019年8月11日から2020年8月8日までと過去最長になったことだ。

かつてないシーズンとなった今季も、ブルーズは従来の輝かしい成績を維持することに成功した。

フランク・ランパードにとって、チェルシーのトップチーム監督として初めてのシーズンとなった今季は、若手選手の台頭もありプレミアリーグ4位という結果に終わった。

これは英国人監督のデビューシーズンとして、1994/95シーズンのノッティンガム・フォレストのフランク・クラークに並ぶ偉業である。

ブルーズは来シーズン22年で17回目となるチャンピオンズリーグ出場権も獲得した。来季ロンドンでチャンピオンズリーグの会場となるのはスタンフォードブリッジだけとなる。

更にランパードとチームスタッフのもと、チェルシーは4年で3度目となるFAカップ決勝進出を果たした。

チャンピオンズリーグはラウンド16で敗退(4回連続)となったが、経験豊富なバルセロナが準々決勝でバイエルンに8-2で大敗したため、若手中心のブルーズの4-1での敗北に関しては、再評価する価値があるだろう

一方エマ・ヘイズ監督率いるチェルシーFCウィメンは、ロックダウン後再開することなく、1試合あたりの勝ち点平均により再度WSL優勝を果たした。

同様にブルーズの育成チームもPL2で優勝し、U18チームはリーグで2位となった。U18チームは来季UEFAユースリーグに参加する。

育成選手の台頭

補強禁止処分を受け、クラブの主軸であるエデン・アザールが退団し、故障者が続出する中、ランパードが第一の目標を達成できたことは特筆すべきことである。ニール・バス率いるアカデミー卒業生の中で最も才能あふれる選手たちがレンタル先から復帰し、チームを再生させたのである。

生え抜きの選手たちが周りの期待を上回る活躍を見せたことは何よりも喜ぶべきことであろう。チェルシーが今シーズン、8人の新人を含む11人のアカデミー卒業生に与えた出場機会は、リーグで合計13,549分となった。

アーセナルとのFAカップ決勝では5人のアカデミー卒業生(タミー・エイブラハム、アンドレアス・クリステンセン、カラム・ハドソン=オドイ、リース・ジェイムズ、メイソン・マウント)が起用され、これはチェルシーにとって過去50年で最多となる。そして21歳のクリスティアン・プリシッチもFAカップ決勝で米国選手として初めてゴールを決めた。

プレミアリーグ前半戦でのはじめの11ゴールは、アカデミー卒のU21以下の選手によるものである(エイブラハム7、マウント3、トモリ1)。

11月9日の対クリスタルパレス戦、チェルシーのスタメンの平均年齢は24歳88日とプレミアリーグ最少となった。

更にブルーズはプレミアリーグ史上初めて21歳以下の選手が(オウンゴールを除く)11連続ゴールを挙げたチームとなった。

プレミアリーグの20チーム中10チームで、チェルシーのアカデミー卒業生またはアカデミーに過去に所属していた選手が今季出場機会を得た。

チェルシー所属のタミー・エイブラハム、ティーノ・アンジョリン、アルマンド・ブロジャ、アンドレアス・クリステンセン、ビリー・ギルモア、マーク・グエヒ、カラム・ハドソン=オドイ、リース・ジェイムズ、タリック・ランプティ、ルベン・ロフタス=チーク、イアン・マートセン、メイソン・マウント、フィカヨ・トモリの他に以下の選手がいる:エディ・エンケティア(アーセナル)、ナタン・アケ、クリス・メファム、ドム・ソランケ(ボーンマス)、ジャック・コーク(バーンリー)、パトリック・ファン・アーンホルト(クリスタルパレス)、ライアン・ブリュースター、アイザック・クリスティー=デイヴィス(リヴァプール)、ディション・バーナード(マンチェスター・ユナイテッド)、ライアン・バートランド(サウサンプトン)、ナサニエル・チャロバー、ドミンゴス・キナ(ワトフォード)、デクラン・ライス(ウェストハム)。

リーグ再開後の復調

勝ち点が3になった現代サッカーでは、よく「引き分けが命取り」と言われるが、ブルーズはリーグ再開後の全試合のうち3分の2で勝利し、勝ち点3を積み上げた。

1試合当たりの獲得ポイントも20%上がりレスターを抜き、来シーズン大きく飛躍する可能性を残した。

ブルーズはリーグ戦で2005/06シーズン以来初めてスパーズ相手にダブルを達成した。ホセ・モウリーニョ監督率いるトッテナムが同じ相手にホーム・アウェイ両方で敗北したのは初めてのことである。

プレミアリーグにおける「ダブル」

2連勝
トッテナム(6位)
ウルブス(7)
バーンリー(10)
クリスタルパレス(14)
アストンヴィラ(17)
ワトフォード(19)
ノリッチ(20)

2連敗
リヴァプール(1位)
マンU(3)
ウェストハム(16)

ロンドン・ダービーの成績

ロンドン勢で最も上位につけたのも過去16シーズン中(2011/12、2015/16、2017/18を除く)13回目となるが、総合成績でも4チームに差をつけて1位となった。

ブルーズはプレミアリーグにおいてホワイト・ハート・レーン、ウェンブリー・スタジアム、そしてトッテナム・ホットスパー・スタジアム全てでスパーズを破った最初のチームとなった。

ウェストハム相手には一度もファールを犯さず、これは2003/04シーズンにOptaのデータ集計が始まって以来のことである。

試合結果

ホームで1-0と勝利したのは、7月のノリッチ戦が2試合目となる。アウェイでは多くの異なる試合結果が出ている。

残念ながら、ファンがいつブリッジに戻ってこれるかはまだわからない。はっきり言えるのは、スタジアムでの観戦が許可されるようになったら、ファンは相手チームによりプレッシャーを与え、2018/19シーズンに比べ失点数は4つ増えただけだが敗戦が5倍となった昨シーズンの不振を挽回しなくてはならない、ということだ。ブルーズのホームでの成績はリーグ6位と振るわなかったが、アウェイでは4位となった。

ウルブス戦でのタミー・エイブラハム、バーンリー戦でのクリスティアン・プリシッチが決めたハットトリックは、チェルシーにとってプレミアリーグが始まってから25・26番目となった。プリシッチのハットトリックは1905年以来150回目である。

エイブラハム(21歳347日)は最年少記録を作ったが、1か月強でクリスティアン・プリシッチ(21歳38日)にそれを塗り替えられてしまう。同じシーズンで21歳以下の2選手がハットトリックを達成したチームはプレミアリーグ史上初めてである。

VAR

2019/20シーズンでは、初めてビデオ・アシスタント・レフリー(VAR)システムが採用されることになった。大きな騒動となったFAカップ決勝を除いたとしても、チェルシーにとってこの新しいテクノロジーは友好的ではなかったと言えるだろう。実際、ブルーズは上位6チームの中で唯一VARがマイナスになったチームだった。

VARによる勝ち点の変動
ブライトン +8
マンU +7
クリスタルパレス +4
バーンリー +3
ニューカッスル +3
サウサンプトン +3
リヴァプール +2
レスター +1
トッテナム +1
マンC 0
アーセナル -1
エヴァートン -1
ボーンマス -2
チェルシー -2
ワトフォード -2
アストンヴィラ -3
ウェストハム -4
シェフィールドU -5
ウルブス -5
ノリッチ -7

VARにより無効となったゴール
アスピリクエタ・リヴァプール(プレミア・ホーム)事前のプレーでオフサイド

アスピリクエタ・アヤックス(CLホーム)タミー・エイブラハムのハンド

ズマ ・マンU(プレミア・ホーム)セサル・アスピリクエタのファール

ジルー ・マンU(プレミア・ホーム)オフサイド

ハドソン=オドイ ・バイエルン・ミュンヘン(CLアウェイ)オフサイド

VARにより有効となったゴール
プリシッチ・バレンシア(CLアウェイ)オフサイド

チェルシー退団が決まった選手

ウィリアン                  2013年9月デビュー
ペドロ                         2015年8月デビュー
タリック・ランプティ 2019年12月デビュー

追悼

アーサー・ブラックリー 2020年8月逝去
1950年代後半ユースとリザーブでプレー

ミッキー・ブロック - 2019年12月逝去
1950年代後半のウインガー

ピーター・ボネッティ - 2020年4月逝去
チェルシーのレジェンドGK・監督

デール・ジャスパー - 2020年1月逝去
ニール監督時代のDF・MFマルチプレーヤー

アイリーン・ピットフィールド - 2020年8月逝去
ブルーズファンの代表的存在

デニス・ソレル - 2019年11月逝去
1960年代前半のミッドフィルダー

今シーズン、このコラムをご覧いただきありがとうございました。9月のプレシーズンでまたお会いしましょう。

チェルシーからその他