分析

チルウェルがチェルシーにもたらすものとは? パット・ネヴィンによる解説

イングランド代表LBベン・チルウェルの獲得に多くのファンが熱狂したが、実際にチェルシーの戦術はどのように変わっていくのだろうか?元チェルシー選手パット・ネヴィンに専門的な見解を聞いてみた。

トップレベルの選手を獲得したからといって、そのプレーヤーが移籍先で成功する保証はない。しかしそんな中、ベン・チルウェルの入団によるブルーズの戦力アップは間違いないと言っていいだろう。

彼はプレミアリーグで十分経験を積んでおり、左SBとしてトップクラスの選手と言えるだろう。イングランド代表で11試合に出場しており、まだ23歳であることから今後の活躍も十分期待できる。

チルウェルは代表で既に共にプレーした同年代のチームメイトに恵まれているため、初日からすぐにチームに馴染むだろう。プレミアリーグの経験がなく、環境に慣れる必要がある選手と異なり、着替えてドレッシングルームからすぐに出れば何をするべきかもうわかっているだろう。
 

クラブでは3バックでLBとしてプレーしたが、彼は典型的な4バックのSBだ。もちろんウィングバックとしても実力を存分に発揮できるだろうが。つまり、勝利に飢えた有望で様々な戦術にフィットする若手がチームに入団したということである。フランク・ランパード監督のチームにとってまたとない選手となるだろう。

彼をそこまで評価し、多額な移籍金を支払った理由は一体何だろう?ブルーズ戦の右足でのゴールを含め、先シーズン彼はそれまでよりも多くの得点を挙げた。このゴールは下のハイライトからも見ることができる。

彼のオーバーラップからの攻撃を得意とするが、ディフェンス能力も高い。少し変に聞こえるかもしれないが、最近ではSBとしてしっかりと守備ができる選手はそう多くない。ポジショニングの問題でもあるし、相手ウィンガーの攻撃を止めることさえも難しいのである。

そんな中、彼はボールを扱うことに慣れており、他のディフェンダーと異なり、チェルシーの素早いパス回しも問題なくできるだろう。そして当然のことだが、相手陣に入った時、彼の最大の強みは左足でのプレーとなるだろう。

悲しいことだが、ここで決まり文句を繰り返すことになる。彼は左足でのプレーで多くのチャンスを創り出すだろう。先シーズン、プレミアリーグで90本のクロスを上げた彼は、来季その数字をさらに伸ばす可能性がある。

このクラブには、すぐに思い浮かぶだけでもアシュリー・コール、グレアム・ル・ソー、そして私の友人であるトニー・ドリゴなど、長年にわたってイングランド代表でも活躍した有能な左利きのSBがいた。ベン・チルウェルは誰に似ているのだろう?個人的にはエヴァートンのレイトン・ベインズが最も彼に近いプレーヤーだと思っている。

べインズの方が背は低いが、両者ともフルバックとして抜きんでた才能を持っており、チームにとって大きな戦力となるウィンガーである。クレバーなプレーと、完璧なタイミングで疲れることを知らないオーバーラップをする貪欲さを持っているのだ。

私自身のキャリアの中でこのような選手は数えるほどしかいなかったが、スティーヴィー・クラークとはお互いを理解し、相手ディフェンスを攻略することができた。すべてのディフェンスがそのようなレベルで機能するわけではない。

ここ10年ほどを振り返ると、このような素晴らしいコンビネーションを見せたのはレイトン・ベインズとスティーヴン・ピーナールだった。彼らは何年にもわたって2対2の状況で相手のサイドラインからの攻撃を封じ、ボールを奪取することに成功していた。彼らはそのようなプレーに非常に長けており、他でそのような息の合ったコンビネーションを見ることはなかったが、ここ数シーズン、チルウェルが同じようなプレーをハーヴィー・バーンズやジェイムズ・マディソンとしていることに気づいた。

チェルシーでチルウェルは、クレバーでスキルがあり、運動量の多いウィンガーとして誰とタッグを組むのだろうか?左サイドでタイミングよくオーバーラップする彼にパスを供給できるのは誰か?それに加え自惚れることなくワンツーなどで囮になったり、相手ディフェンダーを引き寄せてスペースを作ることができる選手はいるだろうか?

これを完ぺきに近い可能性でできるのはクリスティアン・プリシッチだと思う。もし彼らがうまくマッチすれば、素晴らしいコンビネーションが生まれるだろう。

その他にもカラム・ハドソン=オドイやハキム・ツィエク、メイソン・マウントがこの役割を果たせるだろう。

たった一人の左SBの補強ではあるが、アシュリー・コールがクラブを去って以来、初めて満足のいく補強ができたと言えるのではないだろうか。うまくいけば7~10年ほどスタンフォードブリッジでプレーすることができるだろう。セサル・アスピリクエタが入団したのが23歳の時だったことを考えても、そのような展望を持つことは非現実的な話ではない。

ベンが入団したことに非常に満足しているが、私よりも彼のアシストによってより多くのゴールを決めることができるオリヴィエ・ジルー、タミー・エイブラハム、そしてティモ・ヴェルナーの方が喜んでいるだろう。チェルシーファンはフランク・ランパードがどのような構想を持っていて、クラブがそれを全面的にサポートしているか理解し始めただろう。スタジアムは空のままだが、ファンの声は届いている。ブルーズにとって刺激的なシーズンになるだろう。
 

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