分析

ハフェルツがブルーズにもたらすものとは―戦術的分析

カイ・ハフェルツの能力についてはよく知られているが、彼はフランク・ランパード監督率いるチームにどのように順応し、そして何をもたらすだろう?元チェルシーFWでサッカー解説者のパット・ネヴィンが、専門家としてハフェルツに対するこれらの質問について熟考する。

サッカーのチームを作り上げるのことを、大きなジグソーパズルにたとえる人がいる。カイ・ハフェルツ入団によって、チェルシーはパズルの絵全体を見るために必要となる、最も重要なピースを手に入れたのかもしれない。彼はただのパズルの一片ではなく、どこでも周りを見栄えさせるピースなのだ。

ヨーロッパ中のトップチームからその才能が高く評価されるハフェルツだが、特にここ2シーズン、彼のゴール数は常軌を逸している。ドイツのトップリーグで126試合にスタメン出場、46ゴールという数字はどの選手にとっても素晴らしい成績だが、6月に21歳になったばっかりの彼の様な若い選手にとっては信じられない業績だ。

さらに、もう一つ大きなプラスとなるのが、彼はこの数間で大きな経験を積んだということだ。トップリーグで既に4シーズン過ごし、既にドイツ代表で7試合に出場、チャンピオンズリーグもヨーロッパリーグも経験している。抜きんでたサッカーにおけるインテリジェンスを持つ選手だけが、このような偉業を成し遂げることができる。彼の様な選手をスタンフォードブリッジに連れて来ようと思うのは、全く頭をつかわなくてもできるだろう。

彼はいったいどのような選手なのだろう?この質問に答えるのが最も難しい!10番もできるし、偽9番や中盤、そしてウィンガーもできる。データで見ると彼はウィンガーとしてプレーすることを好むようだ。チャンピオンズリーグ対ロコモティフ・モスクワ戦では、10番として4-2-3-1のトップ下でプレーしたが、このヒートマップを見れば彼がどこでその力を最大限発揮するかわかるだろう。

フランク・ランパードが現役時代にボールを受けたエリアと似たようなパターンが見えるが、ハフェルツは右サイドでプレーすることが多い。しかしここで注目すべきは、ゴール前の部分が大きく緑に染まっていることだ!ハフェルツはピッチのどこでもプレーすることができるが、本領を発揮するのはフランクと同じく得点できるエリアなのだ。

彼のゴールの殆どはそのエリア、もしくはゴールの右・左サイドで生まれている。もう一つのヨーロッパでの試合、対AEK戦でハフェルツは右ウィングとしてプレーしたが、得点チャンスがあると中央に入り込み、そしてもちろんゴールを決めたのだ。

彼の得点力は楽をすると「ドイツ人らしい」と言えるだろうが、自分の経験からみると、彼らは特別なことをするというわけでなく、他の選手よりも正しい選択をすると言える。自己中心的ではなく、人よりも多く走り、チームにとってためになるプレーをする。それが、フランクがチェルシーにもたらした新しい特徴である。ハフェルツのような新加入選手だけでなく、多くの選手がこのような特徴を持っていることから、このチームがランパードのものであると言うことができるだろう。

カイ・ハフェルツは、ミヒャエル・バラックなどの偉大な選手とよく比較されるが、プレースタイルよりもその得点力に注目すべきである。どの数字をとっても彼は素晴らしい選手だが、彼は最初の2シーズンは4ゴールずつしか決めていない。その後の数字が驚異的なのだ。2018年12月から今までレバークーゼンの選手として68試合に出場し32ゴールを挙げている。この数字はトップレベルのフォワードでさえ難しいものだ。

これはほぼ2試合で1ゴールに近い。ハフェルツのポジションでプレーした選手と比較してみよう。ウィリアンは素晴らしいプレーメーカーで得点力もあったが、チェルシー時代の得点率は5試合に1点ほどだ。ウィンガーとしては悪くない数字である。このような比較はウィリアンがチェルシーにもたらしたものを否定するものではない。私自身、自分のゴール率を調べたが、ウィリアン同様5試合に1点を少し上回るほどだった。ウィリアンも私も得点よりチャンスをつくることに長けていたと言えるだろうが、カイ・ハフェルツのアシスト能力も許容範囲内だ。

彼の得点力を深く分析すると、ゴールエリアに到達するタイミングを計る能力はランパードのものにそっくりだ。タイミングに加え、ゴール前での落ち着きようも非常に特別なものだ。トッププレーヤーでもこのような状況では急いでゴールを狙うが、彼はスローダウンし頭を上げ、シュートコースを決めることができる。ゴールキーパーの前で得点に対するプレッシャーからの焦りや躊躇が全くない。彼のゴールの解説では、常に冷静、落ち着き、クラスの違いという言葉が発せられる。

彼の得点の3分の2は左足によるものだが、ヘディング(188cmということでこれからも多く決めるだろう)、そして右足でのシュートも利き足と同じようにナチュラルに決めることができる。左利きの選手はほとんどの場合右足を全く使わないことから、ハフェルツがどれだけ特異であるかが理解できるだろう。

フランクはもう一つのパズルのピースを手に入れたが、シーズンが始まるまでチームがどのようになるかは誰にもわからない。とりあえず、カイ・ハフェルツは中心的なプレーヤーとして相手ディフェンスを悩ませるだろう、と言っておけば安全だろう。彼に対しては様々な問いがある。これらにもし答えがあるとしたら、時間をかけて見つけていくべきだろう。


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