2012年にチェルシーをチャンピオンズリーグ優勝に導いたロベルト・ディ・マッテオとエディー・ニュートンが、初めて欧州王者となったミュンヘンでの忘れられない決勝戦のエピソードを語ってくれた。

ディ・マッテオはアンドレ・ビラス・ボアスの後任としてアシスタント・マネージャーから監督に昇格した。ディ・マッテオが最初に行ったことは、1997年のFAカップ決勝でゴールを決めたエディー・ニュートンをコーチ陣に加えることだった。

数週間のうちに、ナポリとの第1戦の3-1の劣勢を覆すという逆転劇を成し遂げ、5月にはベンフィカとバルセロナを破って2度目のチャンピオンズリーグ決勝に進出した。

では、彼らはどうやってそれを成し遂げたのか?この2人が『蒼き日(Blue Day)』という本の中で、ミュンヘンの決勝戦についてインタビューで長々と語った。

「いつものようにドレッシングルームに入った。特別なことは何もなかった。ただドレッシングルームに入っただけだ。選手たちに一人ずつ意見を聞き、彼らの性格を知ろうとした。」

当時、2000年に怪我で選手生命を絶たれたディ・マッテオがチェルシーの監督に就任することを焼け石に水と思っていた人も多いかもしれないが、彼は決してそうは考えていなかったようだ。選手と監督のギャップは大きかったに違いない。

選手時代に監督としてのプレッシャーを感じていたかという質問に対しディ・マッテオは次のように答えた。「いいや、まったくそれはなかった。責任はすべて監督にある。選手であれば、勝利の喜びや敗北の苦しみをチームメイトと共有することができるが、監督は一人だけで、すべての責任を負うのだ。選手としての経験は役には立つが、監督は全く異なる。自分にとっては選手とは全く異なることだった。」

選手であれ、監督であれ、サッカー界で変わらないのは盲信だ。最高峰のレベルで何百万ドルも費やし、数え切れないほどの時間をかけて準備をしても、運命を信じる人がいるのだ。

それがミュンヘンでの決勝の前にも大きな要因となった、と振り返るニュートン。

「ペトル・チェフは、2008年のモスクワ(マンチェスター・ユナイテッドとの決勝戦で敗れた)では、周りのものすべてが赤だったと言っていた。ミュンヘンでは、スタジアムを含めすべてが青かった。そういうちょっとしたことが、選手のメンタリティに影響を及ぼす。ちょっとしたことで、選手たちは自分たちが主役だと感じることができるのだ。

試合前のミーティングに行く途中に、チャンピオンズリーグのトロフィーが置いてあった。バイエルンの関係者が、"触って持って、写真を撮ってみたら?写真を撮れ "と。いや、いや、そうじゃない。それは試合が終わってからだよ。そういうゲームはやめよう。私は長い間、サッカーに携わってきたんだ。私と一緒にそういうゲームをしないでくれと言い返した。」

しかし、ニュートンもディ・マッテオも、選手としての意識は消えていなかった。そして、決勝に出場した選手の多くが、試合前夜のミーティングでの感動的な出来事を語り、それが皆のモチベーションを高めたと証言した。

ホテルで流されたビデオには家族などの最も近い存在からのメッセージが込められていた。

「個人的なアイデアだった。あれで部屋の中の緊張が解けたと言っても過言ではない。その時のことをよく覚えている。チームにとってはサプライズだった。大事な試合だからね。誰もが冷静でありたいと思っているし、ビッグマッチ前の緊張感があった。

選手の妻や両親、子供たちなど、みんなが一緒にいることを示すためのちょっとした演出だった。部屋に入ったときは緊張感があった。ミーティングの後、理由はわからないが選手たちは少しリラックスしていた。

(アイデアの)きっかけは覚えていないけど、家を離れている時間が長い選手たちには妻子、若い選手には両親がいる。ただ何か違うことをしたかったんだ。

アフリカにいるマイケル・エッシェンの母親に連絡をとって、彼のためにメッセージを録音してもらった。マイケルは母親のことをとても慕っていた。涙を流すこともあったけど笑いもあった。」

もちろん、次に何が起こったかを改めて言う必要はないだろう。ブルーズは下馬評を覆し、ロンドンのクラブとして初めてチャンピオンズリーグを制覇した。それは、悔しい思いをした一度目の決勝から10年後のことだった...。

「相手のホームグラウンドに乗り込んで勝利することは特別なことだ。特にチェルシーにとっては初めての優勝がかかっていた。“自分たちの街、自分たちのスタジアム、自分たちのトロフィー”という横断幕を見た時、“よし、やってやるぞ”と思った。ドレッシングルームに行って、“みんな、頑張ってくれ”と言った。チーム全員が一団となったんだ。」

「バルセロナとの試合だけで、これが自分たちのシーズンであることに気づくべきだった。あの後、"今回、チャンピオンズリーグに勝たなければ、絶対に勝てない!"と言ったんだ。そしてその夜は素晴らしいものとなった。試合後、フローラン・マルダの隣に座って、ハグしたことを覚えている。彼は"ついにやったぞ "と言わんばかりに、まるで深淵を見ているかのようだった。彼らの喜ぶ表情は絵画のようだった。クラブは長い間、このトロフィーを追い求めていたのだ。」