まだ10代だったエメルソン・パルミエリは、サントスで家族や友人と2012年のチャンピオンズリーグ決勝をテレビ観戦していたそうだ。あの日応援していたあのクラブで、自分がプレーする未来がやって来るとは想像していなかっただろう。

当時エメルソンは17歳。地元のクラブでのデビューでさえ、まだそれから1年後のことだ。2012年の5月、チェルシーはバイエルン・ミュンヘンを相手に欧州の頂点を争っていた。エメルソンもまた、世界中で観戦していたうちの一人だったのだ。

「ブラジルじゃあみんなチャンピオンズリーグを見るんだ。ヨーロッパで戦う最高の選手たちをね」と話すエメルソン。

「いつかあの舞台でプレーするって夢を持ってブラジルを離れるのさ。チャンピオンズリーグを見始めたころは、ロナウジーニョやデコ、エトーがいたバルサが全盛期だったね」

「チェルシー対バイエルンの決勝もよく覚えている。すごい試合だったよ。もちろん今こうしてここにいることなんて想像もしてなかったけど、あの日はチェルシーを応援してたんだよ。みんなバイエルンが優勝するって言ってたけど、チェルシーが優勝したね。すごい試合だった」

「友達や家族と、家で観戦してたんだ」と続けるエメルソン。

「ちょっとした賭けもしてたね。負けたら夕食を奢るんだ。友達や父親含めみんなバイエルンが勝つって言ってたけど、自分はそうは思わなかった」

「確かに先制はしたけど、ドログバのゴールには大興奮だったね。とにかくチェルシーを応援してたよ」

ヴァレンシア戦では自身初のチャンピオンズリーグ出場を目指すエメルソン。昨シーズンはヨーロッパリーグでプレーし、優勝で幕を閉じている。

エメルソンは大会11試合に出場し、決勝ではスタメン出場でオリヴィエ・ジルーの先制点をアシストした。

「あのバクーの夜は今後も色あせない思い出だね」と2019年5月の出来事を振り返るエメルソン。

「ヨーロッパリーグ優勝は特別な経験だ。これからの人生で"ヨーロッパリーグ"という言葉を聞くたびに思い出すだろうね」

「オリヴィエのゴールをアシストしたのも特別な思い出だよ。決勝まで進んだのもそうだし、相手がアーセナルでダービーマッチというのもそうだ。チームの勝利に貢献できたし、この経験は今後もずっと残り続ける」

「凄かったよ。試合終了からのスタジアム、ドレッシングルーム、そして家族とも合流してね。チームとしてひとつになって戦ったから、優勝できたんだと思う」

2012年のあの興奮を、今度は自分の手で掴むことができるだろうか。スペインでの一戦は、まだわずかな一歩に過ぎない。