幸先良いスタートを切った2004/05シーズンを、深く掘り下げていこう…

ジョー・コール

何がどう転ぶか、誰にも分からない。監督の言葉がどう響くかも、また同じである。

ライバル関係も変わっていく。5年に及び、まさかこんなにも巡り合わせが続くとは誰も予想できなかったはずだ。

それがブルーズとレッズの関係、言い換えればジョゼ・モウリーニョとラファエル・ベニテスの関係だ。カーリングカップ、UEFAチャンピオンズリーグを加えた3大会で5回も顔合わせするシーズンがやってきた。

最初の顔合わせは10月上旬の日曜日、スタンフォードブリッジでの一戦だ。チェルシーは1989年以来ホームでリヴァプールに負けなしだった記録もその前年に途切れ、逆にチェルシーもアンフィールドで11シーズン勝てなかった悪運を断ち切っていた。一方でリーグ無敗記録が50試合になろうかというアーセナルは相変わらずゴールを量産、リーグの首位に立っていた頃のことだ。

前節ミドルズブラ戦では、数々のチャンスを逸しバーにも嫌われたドログバだったが、最終的には決勝点を記録。フランク・ランパードのフリーキックを起点とするお馴染みの流れで、マーク・シュワルツァーを破った。

続くリヴァプール戦、そんなドログバに代わって途中出場したのがジョー・コールだった。

10番を背負ったコールは、シーズン序盤のバーミンガム戦で決勝点を決めるなど好調ぶりをアピール。

すると、再びランパードのフリーキックを起点に決勝点が生まれるのだった。

決勝点を記録し、Skyスポーツのマンオブザマッチにも選出されたコールだったが、監督の目線は違ったようだ。

「ジョー・コールのゴールはかなり重要なものだった」と話すモウリーニョ。「攻撃面での貢献は大きいが、ゴールを決めて彼の中で試合は終わってしまったようだった。あのゴールの後、チームは11人の組織で守る必要があったが、10人しか動いてなかった。ジョーはレギュラーになり得る選手だが、チームで守る局面ではしっかり動いてもらう必要がある」

「まだまだ学ぶべきことは多い。2つの顔があるようだ。ひとつはとても美しいもの、もうひとつは嫌いな顔だ。ひとつは変えずに、もうひとつは変えていくべきだ」

コールはこのコメントを、建設的な意見として受け止めている。

「欧州でも指折りのこのチームで、自分は成長できていると思う」と話したコール。「すごい選手でも、ベンチ入りさえ厳しい環境だ。でもそんな中で日々学び、監督からも学んでいる」

「監督以外の批判は気にしないよ。監督は嫌がらせではなく、成長のために言ってくれているんだ。だからその声をしっかり聞いて、九州したい。チェルシーのためだ。監督は選手を成長させようとしてくれている」

リヴァプールとの大一番を制しさらに波に乗ったブルーズのその後の快進撃は、知っての通り。その一助となったコールもまた、ビッグネームひしめくチェルシーで存在感を確かなものにしていくのだった。