プレミアリーグ初制覇から15年。記憶に深いロンドンダービー、そしてフットボール用語として根付いたあの戦術が生まれたシーズンを振り返ろう。
「ポルトガルでは、バスをゴール前に停めたと言うんだ」ジョゼ・モウリーニョ
シーズンも始まってわずか5節ながら、プレミアリーグが誇る堅守のクラブが出揃った一戦。このチェルシー対トッテナムは0-0に終わったものの、試合内容は一方的なものだった。
連勝で幕開けとなったブルーズは、その前節にアストンヴィラとも0-0の引き分け。ディディエ・ドログバがシミュレーションを取られるなど、惜しい展開に終わっていた。
ちなみ試合後、主審はシミュレーションの判定をミスと認め、イエローカードは取り消されている。
それでも取りこぼした勝ち点はもちろん戻らず、1試合およそ4ゴールのペースで好調なスタートを切ったアーセナルの後塵を拝していた。
その後、チャンピオンズリーグPSG戦で3-0とし公式戦では再び白星を手にしたチェルシー。元マルセイユのディディエ・ドログバに対してはホームサポーターからの手荒い歓迎もあったが、2ゴールの活躍で黙らせている。
そんな中、自信を高めていよいよスパーズを迎え撃つこととなった。
対するスパーズもここまでシーズン無敗、1990年2月以来となるスタンフォードブリッジでの勝利に鼻息荒くしていた。
チェルシーのホームでは過去56試合中、スコアレスに終わったのはわずか4試合というこの両クラブの顔合わせ。しかし蓋を開けてみればこの記録が5試合に伸びただけに終わったのだった。
試合を支配したのはチェルシー。開始2分の時点で2ゴールを決めるチャンスを迎えるも、試合はスパーズ有利に進んでしまう。
対するスパーズは前半、まったく攻撃の意識なし。後半になってロビー・キーンのヘディングで決定機を迎えるも、ペトル・チェフが好セーブで防ぎ切る。
そんな中、当時プレミアリーグ114試合連続出場で新記録樹立していたフランク・ランパードもゴールに迫るが、最もゴールに近づいたのはアイドゥール・グジョンセンだった。
しかしこのシュートもポスト直撃、1986年5月以来となる最高観客数となったスタンフォードブリッジは消化不良のまま試合終了を迎えた。
「ポルトガルでは、ああいうのをバスをゴール前に停めるっていうんだ」と試合後に語ったジョゼ・モウリーニョ。「この試合を見るために50ポンドを払った観客だとしたら、相当イラついただろうね」
「こっちはストライカー全員を並べたんだ。ケズマン、ダフ、ドログバ、グジョンセン。相手に勝とうとする意思があれば、こうはならなかったはずだ」
「キング、ナイベト、ロビンソンは確かによかった」と相手守備を褒めたモウリーニョだったが「デフォーはひどかったね。ただボールを追いかけるだけだった」とも続けた。
選手もこの展開にはイラつきを見せていたが、ジョン・テリーは2004/05シーズン開幕から公式戦7試合中6試合をクリーンシートで終えたことはポジティブだと振り返った。
「ビッグ・ピートやウィリーも、このクリーンシートは喜んでるよ」と話したキャプテン。「もちろんチーム全体の功績だけど、守備する側としてはやっぱり達成感があるよ!」
失点も少なかったが、得点も少なかった当時のチェルシー。しかしこの流れもいずれ好転していくのだった。