チェルシーはチャンピオンズリーグ・グループステージを無敗で終えたが、ブリッジで行われたクラスノダールとの最終戦は引き分けに終わった。
ポゼッション、試合のコントロールという点で優位に立ったが、後半は相手の反撃もあり決勝点を決めることができなかった。
実際、先制点を決めたのはクラスノダールで、セサル・アスピリクエタが右サイドで3対1となり、早いボール回しからカベッラがゴール右隅にボールを流し込む。
しかし、その数分後にエリア内でエイブラハムが相手に倒されPKとなり、これをジョルジーニョが落ち着いて決めて同点とする。
多くのチャンスをつくりながら、堅い守りを見せた相手に決勝点を決めることができず、試合は引き分けに終わった。
スタメン
既にグループE首位突破を決めていたランパードは、交代要員にチャンスを与え、3-1で勝利したリーズ戦でもスタメン出場したのはカイ・ハフェルツのみとなった。
しかしハフェルツは3トップとしてエイブラハムとアカデミーで活躍中で2週間前に19歳になったばかりのこの試合がトップチームデビューとなったアンジョリンと共により前でプレーした。アンジョリンはトップチームでは昨季2試合に途中出場していた。
ランパードは試合前に、9月にメンディがデビューしてから2試合しか出場していなかったケパと、7月の膝の怪我から復調したギルモアの出場を明言していた。
ギルモアはマテオ・コヴァチッチと今季チャンピオンズリーグ全試合スタメン出場のジョルジーニョと共に中盤に入った。
4バックは4-0で勝利したセビーリャ戦と同じ布陣で、アスピリクエタがキャプテンを務めた。
ハイペースな序盤
2月以来チャンピオンズリーグの試合として初めて2000人のファンがスタジアムで観戦する中、選手たちは試合開始前に性の平等をサポートするために跪き、そしてサポーターのスーパーフランクの合唱とともに試合はキックオフした。
ピッチ上の選手たちは開始から自分たちのチームにおける重要性を見せつけるべく激しいプレーを見せ、クラスノダールはマテオ・コヴァチッチとカイ・ハフェルツの両者による高い位置でのプレスに苦しむ。
最初のチャンスはギルモアに訪れたが、ミドルシュートはエイブラハムの背中に当たりゴールラインを割る。
ハフェルツは好調のように見え、ノールックパスをアスピリクエタに送りファンを魅了する。前半15分、試合をコントロールしたブルーズは、ハフェルツのチャンスメークに大きな期待がかかった。
しかしクラスノダールはボールを奪うと危険なプレーを見せる。ヴィリェナとクラエソンのシュートは枠を外れたが、その後に先制点を奪う。
アスピリクエタが右サイドで数的劣勢となり、ワンツーからカベッラがエリア内に入りこむ。元ニューカッスルのカベッラはこれを落ち着いてゴール右隅に決めてクラスノダールが先制する。
すぐに訪れた同点弾
しかしチェルシーはその4分後に同点に追いつく。相手DFへのプレッシャーからギルモアがエリア外でボールを奪い、コヴァチッチがエイブラハムにスルーパスを出す。
エイブラハムがボールを受けようとするが、カイオにブロックされ倒され、これがPKと判定される。
ティモ・ヴェルナーがベンチにいることもあり、ジョルジーニョがPKキッカーに戻り、いつも通りのスキップで相手GKの逆方向にシュートを決めた。
そのすぐ後に追加点のチャンスがやって来る。今度は空中戦でクリステンセンが競り勝ったボールをハフェルツが受け取り、スライディングパスでエイブラハムに出すが、シュートコースが狭まり、シュートは惜しくもゴール右に外れてしまう。
プライドと評判以外に何もかかっていなかったこともあり、非常にオープンな試合となり、両チームともポゼッション時は攻撃に出る。
コヴァチッチとギルモアがチャンスをつくる一方、スモルニコフがリュディガーに競り勝つが、こぼれ球はケパが難なくセーブする。
若手の台頭
序盤おとなしかったアンジョリンが次第にプレーに自信を持つようになり、左サイドからギルモア、そしてハフェルツとコンビネーションを見せる。アンジョリンの予期せぬパスにブリッジのファンは喝さいを送り、スタメンデビューとなる若きアカデミー卒の選手をサポートする。
同様にギルモアも相手に怖気づくことなく、昨シーズンのように輝きを見せ、ハフェルツもコロナの影響を感じさせない。
前半終盤には、ハフェルツがフリーキックから直接ゴールを狙うが、カーブのかかったシュートは高度が下がらずバーを越える。
後半に入ってまず19歳の2人がチャンスをつくる。ギルモアが左サイドのエリア付近のアンジョリンにパスを送り、彼がそのままボールを持ちファーポストにシュートを打つが、これはディフェンダーにブロックされ、エイブラハムもこぼれ球を押し込むことができない。
クラスノダールも攻撃の手を緩めず、巧妙なパス回しからのラミレスのチャンスはアスピリクエタがブロックする。
その後ジョルジーニョのクロスからエイブラハムが難しい位置からヘディングシュートを狙うが、枠を捉えることができない。コヴァチッチもエメルソンのクロスからボレーを合わせることができず得点チャンスを逃す。
緊張の高まった終盤
ポゼッションでは互角となり、ブルーズは試合を支配するものの、決定的なチャンスをつくることはできない。コヴァチッチとギルモアとパス交換をし、エリア外からハフェルツがシュートを打つがこれも相手にブロックされる。
クラスノダールがチャンスがある度に素早い攻撃を仕掛けてくるため、守備陣も気を抜くことはできない。ジョルジーニョが中盤でボールを取られピンチとなるが、ケパが落ち着いて反応して事なきを得る。
チェルシーの最大のチャンスは相手のミスから生まれる。エリア内でラミレスからボールを奪ったエイブラハムがニアポストにシュートを打つが、相手GKが何とかセーブし得点とならない。
エイブラハムは前線でボールを奪おうと動き回る。そしてエメルソンの左サイドからのシュートはバーを大きく超える。その後アンジョリンのスルーパスからハフェルツがスペースに走りこむが、ゴール前からのシュートは相手GKにセーブされる。
これがハフェルツの最後のプレーとなり、ランパードは彼とコヴァチッチに代えてエンゴロ・カンテとティモ・ヴェルナーをピッチに送り込む。さらに試合時間残り10分でアンジョリンに代わってオリヴィエ・ジルーがピッチに入る。
この2つの交代の間にヴェルナーが左サイドから切り込み低いクロスをゴール前に挙げるが、エイブラハムはこのボールを押し込むことができない。
最後まで決勝点を狙い続けたブルーズだったが、選手を交代してもより低く守ったクラスノダールのディフェンスを崩すことができなかった。
しかし、グループステージ最終節を勝利で締めくくることはできなかったが、ブルーズはこれでPK戦を除き17試合連続無敗となり、更にギルモアとハフェルツは復調の兆しを見せ、10代のアンジョリンもこれからを期待させるプレーを見せた。
今後の予定
チャンピオンズリーグは2021年に再開するが、12月は国内リーグ・カップ戦が続き、土曜にはエヴァートンと、その4日後にはウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズと対戦する。
チェルシー(4-2-3-1):ケパ;アスピリクエタ(C)、クリステンセン、リュディガー、エメルソン;ギルモア、ジョルジーニョ、コヴァチッチ(カンテ72);ハフェルツ(ヴェルナー72)、エイブラハム、アンジョリン(ジルー80)
サブ:カバジェロ、ジェイムズ、ズマ、トモリ、チルウェル、アロンソ、プリシッチ、マウント、ジルー、ジガー
得点者:ジョルジーニョ28(PK)
警告:アスピリクエタ82
クラスノダール(4--3-3):ゴロドフ;スモルニコフ、カイオ(ソロキン74)、マルティノヴィッチ(C)、ラミレス;オルソン(カンボロフ80)、ヴィリェナ、カベッラ(スレイマノフ80);ワンデルソン(チェルノフ80)、クラエソン、ベルグ(マルコフ90)
サブ:シニツィン、ペトロフ、ウトキン、チェルニコフ
得点者:カベッラ24
主審:Pavel Královec(チェコ)