チェルシーは、スパーズ相手に2度リードを奪いながらも土壇場で追いつかれ、今シーズン初のホームゲームは引き分けに終わった。
前半はブルーズが優勢で、マルク・ククレヤのCKからエリア内でノーマークだったカリドゥ・クリバリがを見事なボレーシュートで決めて先制した。
しかし、トッテナムはその後、ビルドアップの際にカイ・ハフェルツに対するファウルがあったように見えたが、ピエール=エミール・ホイビュアがゴールを決め、リシャルリソンがオフサイドポジションにいたが、物議を醸しながらも同点に追いついた。
その後ラヒーム・スターリングのパスからリース・ジェイムズが勝ち越しゴールを決めた。しかし、アディショナルタイムの96分にハリー・ケインがCKからヘディングでゴールを決め同点となる。その前のCKからのプレーでククレヤが髪を引っ張られるような形で倒れたにもかかわらず、判定は覆らずゴールは守られた。
試合終了後、口論の末に両監督にレッドカードが提示されるなど、緊迫した状況が続いた。
スタメン
トーマス・トゥヘル監督は、2022/23シーズン最初のスタンフォードブリッジですぐにこの夏加入したばかりのカリドゥ・クリバリ、ラヒーム・スターリング、マルク・ククレヤをデビューさせ、開幕戦に比べ2人の選手を変更した。
開幕戦のエヴァートン戦に続き、エドゥアール・メンディがポストの間に入り、チアゴ・シウバとカリドゥ・クリバリとともにリース・ジェイムズが3バックの右に入り、セサル・アスピリクエタはベンチスタートとなった。攻撃陣はラヒーム・スターリング、メイソン・マウント、カイ・ハフェルツの3トップと前節から変更はなかった。
中盤はアスピ不在の中キャプテンマークをつけたジョルジーニョがエンゴロ・カンテとコンビを組み、サイドは右にルベン・ロフタス=チークが入り、左サイドはククレヤが初先発出場となった。
新シーズン最初のホームゲーム、そしてトッテナムとのロンドン・ダービーにふさわしい賑やかな雰囲気の中、選手たちはスタンフォードブリッジの四隅から大きな歓声でピッチに迎え入れられた。
また、この試合はチェルシーの新時代の幕開けでもあり、ブルーズサポーターたちはキックオフ前にシェッドエンドとマシュー・ハーディングスタンドに新しいアメリカ人オーナーを描いた巨大バナーを掲示し、これを祝った。
拮抗した展開となった序盤
開幕戦でサウサンプトンに快勝したこともあり、トッテナムは試合開始直後から勢いがあり、特にジョルジーニョが中盤でボールを失った場面などのように、チェルシーのボールを奪いカウンターを仕掛けて出る。
しかし、その後試合はすぐに落ち着き、ソンがワイドエリアから放ったフリーキックはバーを越え、マシュー・ハーディング・スタンドに入った。
一方、チェルシーはカンテが高い位置でボールを奪い、危険なクロスをあげたが、スターリングはスパーズのディフェンダー2人に阻まれ、ゴールを決めることができない。
ロフタス=チーク、ジェイムズ、カンテが右サイドでうまく連携したが、中央のスターリングにはもう一歩届かない。
その後ボールを奪取したカンテがエリアライン付近からシュートを放つが、相手に当たり枠を外れ、観客のハンドの抗議も無視された。
そしてクリアされたクロスがエリア外のクリバリにわたるが、このシュートはロリスの右ポストをかすめ枠外となった。
チェルシーの先制ゴール
カンテとスターリングの巧みなパス交換からハフェルツがシュートを放つが、これはロリスが足を使い素晴らしいセーブを見せる。
そしてその次の瞬間、ククレヤのCKからエリア内後方で完全にノーマークのクリバリが右足ボレーを放ち、ロリスを破って先制ゴールを挙げた。
その直後、トッテナムが反撃に出ると、メンディがセセニョンを阻み、オフサイドの疑いが強かったものの、GKは1対1の時に大きく体を起こしてこのシュートを阻止した。
クリバリは逆サイドのCKからまたもやボレーシュートを放つが、これはバーの上を大きく超えた。この時点で、レフェリーは前半のドリンクブレークの時間を告げた。
ブルーズの主導権
クリバリは、チェルシーファンの前で初めて素晴らしいプレーを見せ、見事なスライディングでカウンターのきっかけを作った。そしてボールはロフタス=チークから左サイドのスターリングを見つける。スターリングは右足で中へ切れ込み、ファーポストに向かって低い弾道のシュートを打とうとしたが、エリック・ディアーに阻まれた。
前半は時間が経過すればするほど、勢いはチェルシーに傾く。トッテナムは、エメルソン・ロイヤルが右サイドから珍しく攻撃を仕掛けるが、弱いロークロスがそのままニアポストのメンディの腕に転がり、ノープレッシャーでキャッチされる。
スターリングは一瞬フリーになったが、ボールを戻すことになる。それを受けたマウントがスペースを作りシュートを放つが、威力がありすぎてバーを越えてしまった。
前半を1点リードで終えたチェルシーだが、ブレーク前にもっと大きな差をつけることができただろう。前半最後のプレーでも、ジョルジーニョからの絶妙なスルーパスを受けたロフタス=チークが頭で合わせることができず、追加点とはならなかった。
反撃に出るスパーズ
チェルシーに支配されている状況を打破するためには、後半を力強いスタートが必要であると理解していたトッテナム。ケインのカウンターは、チアゴ・シウバが何とか処理して難を逃れた。
しかし、その直後、チェルシーが再び試合をコントロールするようになり、マウントのゴールへ向かうクロスをヨリスはバックステップしながらバーの上に弾く。
トッテナムのボス、アントニオ・コンテは選手と布陣を変え、夏に獲得したリシャルリソンをデビューさせ、ケインと一緒に4-4-2のフォーメーションで前線に配置することを選択した。
ロフタス=チークがボックス内でDFをかき分け、ファウルを受けたかと思われたが、スターリングにボールが落ち、相手をかわしシュートを打つが、これはわずかにゴール右上に外れた。
しかし、その直後から試合はよりオープンな展開となる。ケインはフリーでボールを受けシュートを放つが、ボールはファーサイドのポストをかすめ、枠を外れた。
同点弾
トッテナムは交代後、より攻撃的になり、同点に追いつくことになる。ハフェルツが右サイドでファウルを受けたように見えたが、アンソニー・テイラー主審はプレーを続行させた。
ジョルジーニョがボールを奪ったが、プレッシャーでクリアできず、ホイビュアにボールが渡ると、メンディの視界はオフサイドのリシャルリソンにより遮られたように見えたが、ゴール下へ低いシュートが決まった。
ハフェルツをはじめ、チェルシーベンチの選手やスタッフは、ビルドアップ時のファウルやオフサイドの疑いが強かったにもかかわらず、ゴールが認められたことに激怒し、トーマス・トゥヘル、アントニオ・コンテ、トッテナムのコーチングスタッフがともに警告を受けることとなった。
トゥヘルは、ジョルジーニョに代わってセサル・アスピリクエタを投入し、ウイングバックとなったジェイムズが右サイドを抜け出し、中央に走りこんだハフェルツに鮮やかなクロスを供給するが、シュートは惜しくもポスト右に外れる。
しかし、すぐにリードを取り戻したのはジェイムズ自身だった。巧みなカウンターアタックで、左サイドから中央のスターリングにボールが渡り、右サイドでジェイムズがフリーでオーバーラップする。スターリングがパスを出すと、リースはロリスを先に動かせ、GKが倒れこんだ隙に強烈なミドルシュートを放ち、冷静にゴールを決めた。
土壇場で奪われた2ポイント
あと1点、駄目押しが欲しかったブルーズは、ブリッジでの初出場となったコナー・ギャラガーが、立て続けに2度、ゴールに迫った。最初の場面では、エリア内ではマウントに渡し、シュートは左に外れ、2つ目のチャンスは相手ディフェンスにブロックされてしまう。
しかし、チェルシーの3点目は得られず、厳しい状況の中、スパーズが我々に罰を与えた。終盤相手のプレッシャーに耐えていたが、VARによる長い中断後、トッテナムのCKから同点弾が生まれた。
ケインがニアサイドでジャンプして頭で合わせると、ボールはジェイムズの太ももに触れてゴールポストへ吸い込まれた。アディショナルタイム6分、今シーズン初のホームゲームでの勝利に十分な手ごたえを得たと思われた矢先の出来事だった。
試合終了間際に放たれたこの一撃は、トッテナムの先制点による憤りとともに、試合終了のホイッスルと同時に緊張を呼び起こし、トゥヘルとコンテはレッドカードを提示され、ベンチ間の口論はピッチ上にも及んだ。
今後の予定
来週もリーグ戦で、日曜の午後2時にリーズ・ユナイテッドとのアウェー戦に臨む。
チェルシー(3-4-3):メンディ;ジェイムズ、チアゴ・シウバ、クリバリ;ロフタス=チーク、カンテ(ギャラガー84)、ジョルジーニョ(c)(アスピリクエタ73)、ククレヤ;マウント、スターリング(プリシッチ85)、ハフェルツ(ブロヤ89)
サブ:ケパ、チルウェル、チャロバー、ハドソン=オドイ、ツィエク
得点:クリバリ19、ジェイムズ77
警告:ジェイムズ41、メンディ62、ハフェルツ86
トッテナム(3-4-3):ロリス (c);ロメロ、ディアー、デイビス;エメルソン・ロイヤル(モウラ82)、 ホイビュア、ベンタンクール(ビスマ79)、セセニョン(リシャルリソン57);クルゼフスキ、ケイン、ソン(ペリシッチ79)
サブ:フォースター、ドハーティ、サンチェス、タンガンガ、ヒル
得点:ホイビュア68、ケイン96
主審:アンソニー・テイラー
観客:39,946