後半にリードを奪われたチェルシーだが、土壇場で2ゴールを決め、ウェストハム相手にロンドン・ダービーを制した。

前半は、チェルシーがポゼッションの大部分を占め、ウェストハムが引いて守り、両チームとも相手ゴールキーパーを脅かすようなことはほとんどなく、淡々とした展開となった。

しかし後半、試合の流れの完全に逆をついてウェストハムがリードを奪う。エドゥアール・メンディは危険なCKを何とかゴールから遠ざけたが、その過程で体勢を崩し、ボールが戻ってきた時にマイケル・アントニオのタップインを防ぐことができなかった。

ゴールの欲しいチェルシーは、相手にプレッシャーをかけようとしたが、試合を振り出しに戻すには二人の交代が必要だった。チアゴ・シウバの山なりのボールを受けたベン・チルウェルが、ヘディングで落としたボールをそのままゴールに流し込んだのである。

そしてその数分後、チルウェルの低いクロスにカイ・ハフェルツが合わせ、残り2分で逆転に成功した。

しかし、ドラマはまだ終わっていなかった。チェルシーが先制する直前、ファーストタッチでポストを叩いたマックス・コルネが、ジャロッド・ボーウェンのチャージでメンディが倒れた隙に、無人のゴールネットを揺らしたのだ。

しかし、このときレフェリーはピッチサイドのスクリーンに映し出されたボーウェンのファウルを確認し、ゴールを取り消し、試合はそのまま2-1でチェルシーが勝利した。

スタメン

レスター・シティからチェルシーに移籍したばかりのフォファナが、ブルーズでの初戦を先発で迎え、カリドゥ・クリバリとチアゴ・シウバとともにGKエドゥアール・メンディの前で3バックを務めることになった。

リーズ・ジェイムズは、セサル・アスピリクエタに代わって右サイドに入り、マルク・ククレヤが左サイドバックに入った。

中盤では、膝の怪我から復帰したマテオ・コヴァチッチが今シーズン初先発、コナー・ギャラガーが出場停止から復帰、さらにサウサンプトン戦で負ったハムストリングの怪我が当初心配されていたほど深刻でないことが判明したルベン・ロフタス=チークも先発出場となった。

攻撃陣は、ラヒーム・スターリングとともにクリスチャン・プリシッチが起用され、メイソン・マウント、カイ・ハフェルツ、ハキム・ツィエク、ジョルジーニョはベンチスタートとなった。

キックオフに先立ち、デビュー戦となるフォファナの名前が読み上げられると、スタンフォードブリッジに大きな歓声が響いた。そして、序盤にマイケル・アントニオのボールを奪うと、さらに強い歓声が挙がった。

静かな出だし

このロンドン・ダービー、序盤からチェルシーがボールを支配し、ウェストハムは深い位置でプレーしたため、激しい展開にはならず、比較的穏やかなペースで始まった。しかし、チェルシーがハーフウェイラインを越えた瞬間、ウェストハムは中盤に人数をかけてプレスをかけ始め、序盤はなかなかファイナルサードに進むことができず、チャンスを作れなかった。

前半10分過ぎには、ジェイムズ、スターリング、プリシッチが立て続けにフリーとなったが、いずれもエリア内が密集し過ぎており、クロスをあげることができない。

ウェストハムは、最初の攻撃を仕掛けるまでに20分近くを要し、低いクロスはチアゴ・シウバに簡単に防がれ、また同じ展開に戻る。ロフタス=チークのパスからスターリングがゴールに近づいたが、試合はほとんどハマーズのハーフで行われたにもかかわらずゴール前でのアクションはほとんどなく、辛抱強く相手ディフェンダーの密集を打破する方法を探った。

前半30分、ジェイムズが右サイドで相手選手を振り切り、ゴール前に低い弾道のボールを放つが、これに反応する選手が誰もいない。相手ディフェンダーのクリアボールを拾ったプリシッチが放ったシュートは、ウェストハムの選手の群れに阻まれた。

スコアレスドローに終わった前半

その後もプリシッチがウェストハムの守備陣を翻弄し、エリア外からコヴァチッチが低い弾道のシュートを放つが、これは左ポストを大きく外れる。前半のうちにチェルシーのプレーに切迫感が出始めてきた。

しかしその一方で、ウェストハムは、チアゴ・シルバのクリアからパブロ・フォルナルスが放ったハーフボレーがゴールをわずかに外れるなど、危ういシーンも見られた。

後半に入るとチェルシーが試合のテンポを上げ、得点のチャンスを作ろうとしているように見えたが、ジェイムズとスターリングの右からのクロスはブロックされ、プリシッチが右からカットインするが、エリア内でディフェンダーの間をすり抜けながらシュートするスペースをなかなか見つけることができない。

また、アントニオがファールをした後、ジェイムズと衝突し、両選手が警告を受けるなど緊張感も高まっていた。しかし、ポゼッションの時間が長くなる一方で、ウェストハムのウカシュ・ファビアンスキに迫ることができないままだった。

ビハインドを負ったブルーズ

実際、セーブが必要になったのはブルーズの方で、メンディがジャロッド・ボウエンのボレーシュートをニアポストではじく場面もあった。しかし、危機は去っていなかった。ウェストハムはコーナーキックから思わぬ形でリードを奪う。最初のクロスをメンディが何とかクロスバー下で弾き出したが、その時に体をぶつけられ、ゴールエリアにボールが戻ってきた時は倒れたままで、アントニオにタップインを許すことになった。

チアゴ・シウバにヘッドロックをかけたにもかかわらず、2枚目のイエローカードを免れたアントニオがまだピッチに残っていることは、チェルシーにとってフラストレーションが溜まっただろう。

ブルーズは、ウェストハムのゴールの直前にメイソン・マウントとともにトゥヘル監督が投入したアルマンド・ブロヤがエリア内でボールを受けたが、ファビアンスキが素早くラインから離れ、このシュートを防いだ。

必死の追い上げ

トゥヘルは、試合を追いかけるためにまたもやダブルチェンジを敢行し、ククレヤとコヴァチッチに代えてカイ・ハフェルツとベン・チルウェルを起用した。そして結果から見れば、これが功を奏したと言えるだろう。チルウェルの投入からわずか4分後、チアゴ・シウバのハイボールに反応してエリア内に侵入し、ウェストハムのディフェンダー2人を空中戦で打ち負かした。チルウェルのヘディングはゴールライン近くに落ち、彼は跳ね返ったボールをうまくコントロールし、駆け寄ったファビアンスキの股下を通し、そのままゴールとなった。

同点に追いついた後は、前半とは打って変わってウェストハムの激しい攻撃に遭い、ピッチでの競り合いも激しくなった。しかし、前半と同じように、ボールを支配していたのはチェルシーだった。

ウェストハムの2人の選手が交代で入り、サイード・ベンラーマのクロスをマックス・コルネがファーストタッチでポストに当てるなど、ブルーズが怖気づく場面もあった。

しかし、残り数分でチェルシーがリードを奪う。ブロヤがサイドのチルウェルにボールを預ける。チルウェルが低いクロスをボックス内に送ると、同じく交代出場のハフェルツが相手を制しボレーシュートを決め、チェルシーが土壇場で逆転した。

しかし、それは無駄に終わったかのように、ウェストハムはすぐに同点に追いつく。メンディがボーウェンのヘディングシュートを弾いたが、このこぼれ球を拾ったコルネが無人のゴールネットを揺らしたのだ。

しかし、ジェイムズのバックパスにつめたボーウェンがメンディの腕に足をかけていたことがVARで確認され、主審アンドリュー・マドリーがピッチサイドのスクリーンでもう一度この場面を見た結果、ボーウェンの接触プレーはファウルに値すると判断し、ゴールは取り消され、ウェストハムのフォワードにイエローカードが提示された。

チェルシーにとって、あとはアディショナルタイムの激しい攻防を耐え抜き、勝利に値する、しかし多大な努力と決断を必要とする勝利を手にするだけだった。

今後の予定

2022/23シーズンのチャンピオンズリーグが火曜日に始まる。チェルシーは、アウェーでディナモ・ザグレブとイギリス時間の17時45分に対戦する。そして土曜にはアウェーでフラムと12時30分から対戦する。

チェルシー(3-4-1-2):メンディ;フォファナ、チアゴ・シウバ(c)、クリバリ;ジェイムズ、ロフタス=チーク(ジョルジーニョ83)、コヴァチッチ(ハフェルツ72)、ククレヤ(チルウェル72);ギャラガー(マウント60);プリシッチ(ブロヤ60)、スターリング

サブ:ケパ、アスピリクエタ、チャロバー、ツィエク

警告:ロフタス=チーク10、ククレヤ36、ジェイムズ55

得点:チルウェル76、ハフェルツ88

ウェストハム(4-2-3-1):ファビアンスキ;ツォウファル、ケーラー、ズマ、エメルソン;ソーチェク、ライス(c);ボーウェン、パケタ(オグボンナ83)、フォルナルス(コルネ86);アントニオ(ベンラーマ74)

サブ:アレオラ、ランドルフ、コヴェントリー、ダウンズ、ランシニ

警告:アントニオ54、ボーウェン90+1

得点:アントニオ66

主審:アンドリュー・マドリー

観客数:39,923