チェルシーのレジェンド、パット・ネヴィンは、ユーロ2020で解説者としてチェルシーの公式ウェブサイトで大会の様子を伝えている。グループステージが終盤に差し掛かっているが、彼は何人かのブルーズがクラブでの成功に加えて、代表でも栄光を手にするチャンスがあると考えている。

「自分たちに有利なことはすべて不利になる」と冗談のように言っていた監督が昔いた。要するに、物事がうまくいき始めて絶好調だと思ったときに、不運が訪れ再び落ち込んでしまうことがあるということだ。

先日行われたイングランド対スコットランド戦は、英国をはじめとする大陸の多くのサッカーファンが注目していた試合だった。スコットランドでは、人々はクリスマスプレゼントを待ち望む子供のようにこの試合を待ち望んでいた。

チェルシーのファンも、クラブでチームメイトであるリース・ジェイムズとメイソン・マウントがビリー・ギルモアと対決することを楽しみにしていただろう。この試合でデビューしたばかりのギルモアは、素晴らしいパフォーマンスにより、この試合のスター・オブ・ザ・マッチ(“マン”という言葉を変えたものだろう)に選ばれた。先週のコラムでは、チェコとの初戦でビリーがスコットランド代表として先発しなかったことに失望したと書いたが、今回は「メイソン・マウントとビリー・ギルモアが対戦する可能性は十分にあり、それだけでもチェルシーファンにとっては素晴らしいことだ」と私自身楽しみにしていた。

ビリーは確かにメイソンや他の選手と対峙することになった。チェルシーのファンは、来シーズン、ビリーが毎週のようにトップチームのスタメンに名を連ねることになるだろうと思っただろう。

スコットランドにとっての問題は、ビリーに新型コロナウイルス感染症の陽性反応が出たと発表されたことだ。メイソンとベン・チルウェルも残念ながら検査を受けている。これはスコットランドにとっても、ビリーにとっても大きな痛手であり、イングランドとチェルシーの2人にとっても簡単なことではない。

ビリーは無症状で、早く完治することを願っている。この病気は通常、若くて健康な選手にはあまり影響を与えないが、我らがカイ・ハフェルツを含む何人かの選手が深刻な影響を受けたことは記憶に新しい。

ビリーが今大会で飛躍を遂げるという意見があるとすれば、それよりもハフェルツが大きなインパクトを与えると考える人の方が多いだろう。ドイツの第2戦、調子の良いポルトガルとの試合で彼は絶大な存在感を示した。エリア内に何度も完璧なタイミングで入りチャンスを作り、彼の自信と力強さ、そしてその圧倒的なテクニックは、チーム全体を栄光に導く原動力となるだろう。

もちろん、トニ・リュディガーの活躍も見逃せない。

彼のディフェンダーとしての真の資質を知らない人(たいていは評論家)がいまだにいるが、ポルトで相手を完全にシャットダウンした彼は、この大会でも同じミッションを遂行するように命令されているようだ。

これには興味をそそられる。チャンピオンズリーグに加え、ユーロの優勝メダルを首から下げてプレシーズンにコブハムに現れる可能性の高い選手は誰だろう?

多くの代表にブルーズの選手たちがいる。例えば、エメルソンとジョルジーニョは自信を持っているに違いない。アズーリは、3試合あるグループステージの最初の試合で、おそらく他の誰よりも注目を集めた。短距離走ではなくマラソンだ。まあ、リーグ戦全体がフルマラソンだとすれば、ユーロはスプリントとまでは言わないが1500m走のようなものだろう。ロベルト・マンチーニ監督のチームは、誰よりも鋭くスタイリッシュに見えたが、それは彼らが着ているユニフォームのおかげだけではない。

フランスは2戦目でやや地味な印象を与えて驚かせたが、イングランドと同様、勝ち点の面では安定したスタートを切っているので、まだ慌てる必要はないだろう。エンゴロ・カンテ、オリヴィエ・ジルー、クル・ズマがすぐにパニックに陥るとは思えない。

ベルギー代表のミシー・バチュアイは、あまり試合に出られないかもしれず今のところ注目度がかなり低いが、大会終了後にメダルを獲得する可能性は高い。しかし彼はポルトでの優勝チームの一員ではなかったため、もし彼がユーロで優勝してコブハムに戻ってきたとしても、それほど喜べるものではないだろ。

大陸各地に分散して開催されるこの大会は、非常に奇妙な大会であると言わざるを得ない。コロナウイルスのこともあり、この大会に熱狂している都市は見当たらないだろう。そもそも、この大会が素晴らしいアイデアだったとは思えないが、このご時世、安全面はもちろん、雰囲気も最悪の状態と言えるだろう。

しかし、デンマーク人とフィンランド人がクリスチャン・エリクセンの名を呼んだり、ブダペストのフェレンツ・プスカシュ・スタジアムでの狂騒的な応援など、ファンとの感動的な場面もいくつかあった。スコットランドのファンも、昔のようにキルトやバグパイプでウェンブリーを巡礼し。数日間にわたってロンドンを彩った。

このような光景は、将来、正常な生活が戻ってきたときに何が起きるかを予想させる。本物のファンは、満員のスタジアムの中で行われるいつものサッカーの試合の楽しさを、これまでになく味わうことができるだろう。

そうは言っても、イングランド対スコットランドの試合でもし自分の国が得点したらどうしよう、というファンとしての不安があった。私はピッチサイドのレポーターとして、ゴール裏にいた。いつまでも降り続く雨を除けば、それはそれで素晴らしいことなのだが、もうひとつ深刻な問題があった。私はイングランドのサポーターの目の前にいたのだ。

ビリー・ギルモアがスコットランドに先制点をもたらしていたら、私は興奮を抑えられただろうか?それはわからないが、(少なくとも罵声から)自分の身の安全を考えれば、0-0で終わったことは幸運だったのかもしれない。また、チェルシーの選手が得点した場合は、どの国の代表であっても喜ぶべきだと思っている。しかし、正直なところスコットランド戦でメイソンやリースが得点していたら、私は喜びを抑えられたかもしれない。