ボロのプレスを破る2つのファインゴールでFAカップ準決勝進出を決めたブルーズ。この試合のデータとキーポイントを振り返ってみよう。
トーマス・トゥヘルは試合前、マンチェスター・ユナイテッドとトッテナムを破ったミドルスブラに対抗するためのゲームプランが必要だと明言していた。
「通常、ボロは右サイドからの攻撃を好むので、我々はそれを意識し、強くなる必要がある」と試合前に語っていたトゥヘル。
しかし、試合はブルーズがティーサイダーズの右サイドの脅威に対処しただけでなく(2006年以来9度目のクリーンシートを達成、ボロは4本の枠外へのシュートのみでビッグチャンスなし、ゴール期待値はわずか0.47)、右サイドからの突破で2点を奪い、ミドルスブラのお株を奪うプレーを見せたのである。
ディフェンスからの組み立て
下の2つのゴールシーンの図を見ると、その経路だけでなく、ボロのハイプレスをいかにうまくかわしたかも示している。1点目は右サイドをうまく使い、2点目は左サイドから右サイドにプレーを切り替えた。
6番のチアゴ・シウバは両方の得点に関与し、テレビ放送でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたが、ピッチ上の誰よりも13本以上多い合計113本のパスを出し、その正確さは先発メンバーの中でただ一人、ルベン・ロフタス=チークが上回っただけである。
変化したかたち
ロフタス=チークは最近、センターバックと右ウイングバックの代役を務めていたが、この週末はトゥヘル監督が説明するように、チームがボールを持ったときに4-1-4-1の形でアンカーを務め、ボロのキャプテンでプレイメーカーであるジョニー・ハウソンを止めることが求められた。
3バック+ウイングバックという通常の形ではなく、左サイドバックのマラング・サールは、攻撃的な走りに定評があるボロの右ウイングバック、アイザイア・ジョーンズのマークに専念することができた。ボロはジョーンズにパスを回し、彼はチーム内で2番目に多いタッチ数を記録したが、ドリブルの成功は2回にとどまり、重要なパスはなかった。ジョーンズはハキム・ツィエクの7本より1本多い、最も多くのクロスを送ったが、ボロの選手に渡ったのは1回だけだった。サールは、タックル1回、インターセプト1回、クリア1回と与えられた役割をこなした。チェルシーの平均ポジションマップ(ポゼッションは61パーセント)は、サールがトニ・リュディガーにサポートを受けていたことを示している。
適材適所
マウントはツィエクよりも内側でプレーすることが主だったが、2人は流動的で、マウントがサイドに流れツィエクが中に切り込んで、右サイドから実りある攻撃を展開することができた。各選手がゲーム最多の3本のキーパスを出し、マウントが6本中3本の正確なクロスを出したのに対し、ツィエクは7本中2本だった。
この試合での2アシストにより、マウントのチェルシーでのアシスト数は25となり、25ゴールと合わせて、ブルーズでの通算50ゴールに関与したことになる。これまでのブルーズでの試合出場数は148。
ツィエクのバースデーゴールは、今年に入ってから5点目となる。一方、リバーサイドでもう一人の得点源、ロメル・ルカクは、今シーズンFAカップ4試合中3試合でゴールを決めている。
ベルギー人はこの大会が好きなようだ。2012年にFAカップに初出場して以来、所属クラブを問わず16ゴールを挙げている。これより多いのはセルヒオ・アグエロだけである。
昨日は、ゴールラインでのクリアにより追加点を阻まれたルカクだが、合計3本のシュートは、リバーサイドのピッチに立つ誰よりも多かった。また、2本のドリブルを成功させ、その存在感を示している。
2013年にFAカップに初出場して以来、セサル・アスピリクエタほど多くの試合に出場している選手はいない。そして、タックル2回、インターセプト2回、クリア3回と、ピッチ上のどの選手よりも守備で貢献し、FAカップ36試合出場を祝ったのだ。
チェルシーは現在今季最多の連勝記録を樹立しており(リーグ・カップ戦合わせて6連勝)、カラバオカップ決勝でPK戦に敗れたのを除けば、ここ13試合で12勝している。
来月には、6年で5回目、史上26回目のFAカップ準決勝での対戦が控えている。