チェルシーがクラブ史上2度目となるチャンピオンズリーグ優勝を果たしたのは、この試合の主なデータが示すように闘争心と決意に満ちたパフォーマンスのおかげだろう。

土曜の夜、ポルトでマンチェスター・シティを1-0で下したトーマス・トゥヘルは、ペップ・グアルディオラとの戦いを制しヨーロッパ王者となった。

シティを率いたグアルディオラにとっては、これが初めてのCL決勝での敗戦となった。彼はチェルシーとトゥヘルに嫌気がさしているに違いない。トゥヘルほどグアルディオラ相手に好成績を残した監督は、後者がバルセロナの「B」チームを率いていた頃からいない。

今回もカギとなったウィングバック

1月にチェルシーの監督に就任して以来、トゥヘルはグアルディオラと3つの大会で3回対戦し、すべて勝利している。過去2回の勝利と同様に、この試合でもブルーズのWBリース・ジェイムズとベン・チルウェルの活躍が光った。

チェルシーの攻撃陣の2人がマンチェスター・シティのフルバック2人を抑えていたため、ジェイムズとチルウェルはウイングのラヒーム・スターリングとリヤド・マフレズとのデュエルに集中することができた。彼らの攻撃の脅威を無効化したことは特筆すべきだろう。いつもはボールを持つと非常に危険な選手である2人が、ポルトでは一度もドリブル突破することができなかったのだ。

ジェイムズはタックル数でこの試合トップ(9回)となり、チェルシーではチルウェルが次に多かった(5回)。ジェイムズの7回のタックル成功は、他のどの選手よりも2倍以上多く、次に来るのがエンゴロ・カンテ、カイ・ハフェルツ、シティのオレクサンドル・ジンチェンコの3回だった。

また、2人のウィングバックは、ボールを素早く奪うために飛び込むべき状況と、相手を我慢強く待つべき状況をしっかりと把握していた。ジェイムズとチルウェルは、ジョルジーニョとシティのイルカイ・ギュンドアンと並んで、それぞれ3つのファウルを犯したが、チェルシーはこの試合、ディフェンスサードでシティにFKを一度も与えなかった。

これは通常、経験豊富なチームによくみられるデータであり、トゥヘル監督のもとで初めてのトロフィーを獲得、クラブとして9年ぶりにチャンピオンズリーグ優勝を果たした比較的若いチームの成熟度を物語っている。

適切なエリア

キックオフ前から、グアルディオラが攻撃的な布陣を選択したことは周知のことだった。彼が中盤に守備的な選手を起用しないことが話題になったが、チェルシーが最も成功したのは、ウイングから転向した左SBのジンチェンコを攻略したことであったと言える。

全攻撃の53%が右サイドからで、左サイド24%、中央23%に比べると遥かに多い。

右サイドからの攻撃は主にジェイムズとハフェルツが担当していたが、この2人はチェルシーの他の選手よりも多い4回のドリブルを試み、守備力に問題のあるジンチェンコは攻撃参加できなかった。

特に前半、ハフェルツとティモ・ヴェルナーが頻繁にポジションを入れ替えていたことも重要で、彼らはジンチェンコをはじめとするシティのディフェンダーたちを翻弄した。ヴェルナーは持ち前のスピードで背後への走り込み、ハフェルツの完璧なコントロールとドリブル突破とお互いに相手のスペースを作りだした。

先制点が生まれたシーンでは、ヴェルナーがセンターバックをサイドに引き連れたことにより、ジンチェンコを置き去りにし中央に走り込んだハフェルツにメイソン・マウントが絶妙なスルーパスを供給した。

マウントはイギリス人としては2008年のチェルシー戦でマンチェスター・ユナイテッドのウェス・ブラウン以来となる、チャンピオンズリーグ決勝でのアシストを記録した。

強固なディフェンス陣

1点差のリードは不安定な状態に見えることが多いが、チェルシーは堅実な守備により相手にほとんどチャンスを与えなかった。実際、マンチェスター・シティが枠内に放ったシュートは1本だけで、スターリングは、ジェイムズの見事なタックルでシュートチャンスを逃したスターリングがライン上からゴールに向かってボールを送り込み、エドゥアール・メンディが至近距離でボールをブロックしただけで、シュートと呼べるかも疑わしかった。

この試合でチェルシーの選手が行った37回のタックルはすべてエリア外のもので、世界最高峰の攻撃陣と広く認められているシティに対し、いかに守備が光ったかがわかる。

ペナルティエリア外での守備が多かったとはいえ、3バックは重要であり、やるべきことが多くあった。チェルシーのセンターバック3人のクリア数が合計11回であったのに対し、マンチェスター・シティは14人全員で7回しかクリアできなかった。

シュートブロック数ではセサル・アスピリクエタとアントニオ・リュディガーの2人が2回でトップとなり、マンチェスター・シティが放った7本のシュートのうち4本を彼らが止めた。また、センターバックが一度も相手にボールを奪われなかったことも重要なポイントだ。

また、スーパーサブのアンドレアス・クリステンセンも特筆すべき存在だ。この言葉は通常、攻撃面で決定的な仕事をする選手に使われるものだが、今回に限って言うと、クリステンセンはベンチから途中出場しチームに大きく貢献した。チャンピオンズリーグ決勝で39分から出場し、少しでもミスがあれば大きな損失につながるというプレッシャーは大きかったはずだが、本人はそれを感じていたとしても、決して表には出さなかった。

クリステンセンは途中出場にもかかわらず、インターセプト数でチームトップとなり(2回でマウントと並んで最多)、クリア4回を上回ったのはジェイムズだけだった。

もちろん、これらのことは今に始まったことではない。というのも、今シーズンのチャンピオンズリーグでは、堅固なディフェンスが要となっていたからだ。メンディは今シーズン9回目のクリーンシートを達成し、2000/01のバレンシアのサンティアゴ・カニサレス、2015/16のレアル・マドリードのケイラー・ナバスの記録に並んだ。

ボール際の闘争心

試合開始直後から、ブルーズはこのチャンスを逃すまいとピッチのいたるところで激しく競り合い、セカンドボールを獲得した。

前述のようにタックル数でシティを大きく上回った(37対17)一方で、ファウル数は少なく(13対14)、うまく攻撃ができたと言えるだろう。タックルの効果も高く、37回中21回ボール奪取に成功したのに対し、マンチェスター・シティは17回中わずか8回にとどまった。

つまり、ジェイムズが成功させた7回のタックルは、マンチェスター・シティのチーム全体の合計より1回少ないだけであり、マンチェスター・シティで1回以上ボール奪取に成功したのはジンチェンコはだけだった。

いつものことだが、ピッチのあらゆる部分でボール奪取できたのはエンゴロ・カンテの存在が非常に大きい。タックルとインターセプトで誰よりも多くボールを奪い(10回)、しかも一度もファールを取られることがなかった。さらに驚くべきことに、カンテは制した空中戦の数でもチームトップとなり、いかに彼がボール奪取に執着していたかがわかる。

メンディがシティのスタメン3選手よりも多くのパス(28本)を記録したことからも、ブルーズがいかにマンチェスター・シティの流動的なパスとポゼッションを阻止したかがわかるだろう。