チャンピオンズリーグ準決勝第1戦レアル・マドリードとの試合をデータから振り返ってみよう。

チャンピオンズリーグ準決勝第1戦レアル・マドリードとの試合をデータから振り返ってみよう。

この引き分けにより、レアルとの対戦でチェルシーは4試合負けなし、トゥヘルは5試合負けのない唯一の監督となった。

相手のチャンスを封殺

カリム・ベンゼマにこれがCL71点目となる同点ゴールを決められたにもかかわらず、ブルーズはそれ以外に目立った決定機を与えず高い守備力を見せつけた。この得点がレアル・マドリードの唯一の枠内へのシュートだった。

2003/04シーズン以降、チャンピオンズリーグの試合で今回よりもレアルの枠内シュート数が少なかったのは1度だけで、それは奇しくも昨シーズンのグループステージでトゥヘル監督率いるパリ・サン=ジェルマンと対戦したときだった。

昨晩のゴールも、ペナルティエリア内でブロックされずに放った唯一のシュートだった。このことは、ホームのレアルに得点シーン以外ほとんどチャンスを与えなかったことから、ブルーズがマドリードでクリーンシートを達成できなかったことは残念だったと言えるだろう。

対照的に、チェルシーは合計12本のシュートを放ち、そのうち5本がエリア内からで、5本が枠を捉え、ファイナルサードでよりチャンスをつくりだしたことがわかる。一方ディフェンスでは4回ブロックに成功している。

両チームの守り方を見れば、どこに違いがあるのかを明確にわかるだろう。両チームともピッチの高い位置でボールを奪い、相手の高い位置でのプレスを阻止しようとしていたが、それに成功したのはチェルシーだけで、リカバー数45回からも見て取れる。

一方のレアルは何度もプレスを突破され、ディフェンスラインを下げざるを得ず、その結果ディフェンス陣のタックル数は21回、クリアーは20回となった。ブルーズのディフェンス陣のタックル数は6回、クリアーは9回でどちらも一桁台にとどまった。ミリタンの7回のタックルとヴァランの7回のクリアーはチェルシーのどの選手よりも2倍以上の数だった。

中盤を制圧

ブルーズは試合の大半で主導権を握っていたにもかかわらず、ポゼッションでは48%、パス本数ではレアル598本に対し579本という結果になったのは意外だったかもしれない。しかし、トゥヘルのチームのパフォーマンスは、量よりも質を重視し、コントロールされたものだった。

トニ・クロースが復帰し、カゼミロ、ルカ・モドリッチとともにプレーすると発表された時点で、中盤が重要なエリアになることは明らかだった。彼ら3人が相手に主導権を渡すことは殆どないが、それが実際にこの試合で起きたことだった。

それはいつものブルーズのプレースタイルとは少し異なるものだった。まず、メイソン・マウントはジョルジーニョやエンゴロ・カンテと共に守備陣をカバーし、クリスチャン・プリシッチやティモ・ヴェルナーがボールを持ったときには前に出てサポートするというように、ピッチ全体を走り回る役割を担うこともあった。

その結果、普段中盤でボールを奪われることなく楔となってスペースを作りだすモドリッチが、マウントとジョルジーニョからプレスを受け、すぐにボールを離すことがよくあった。実際モドリッチは5回ボールを奪われ、試合ワーストとなった。彼がこのデータのトップに立った試合はそう多くはないだろう。

ジョルジーニョとカンテのペアも、いつもの動きとは違っていた。ある意味、ジョルジーニョはカンテの役割を担い、中央のポジションからピッチ全体に渡りボールを追いかけた。一方のカンテはさらに前方のプリシッチに近い位置でプレーし、優れた運動量により相手ディフェンスを置き去りにするなど、しばしば攻撃の起点となった。

このような右サイドからの攻撃では、カンテが9回、プリシッチが7回のドリブルを成功させた。他にドリブルを2回以上成功した選手はいなかった。また、レアル・マドリードの左ウイングバック、マルセロが犯した試合最多となる3つのファウルを犯したのもそのためだろう。

パス数はクロースが98回、ジョルジーニョが91回と、他のどの選手よりも30回も多くパスを出し、ほぼ互角に渡り合った。しかし、試合の主導権を握っていたのはジョルジーニョであり、クロースはボールを奪うために深い位置でプレーすることを強いられた。

チーム全体の攻撃参加

後方から攻撃を組み立てるという考え方を、昨夜のマドリードでのチェルシーほど明確に実践したチームは殆どいないだろう。3バックがピッチに広く展開したことでボールをキープする時間を確保したため、レアルは彼らに対してプレスをかけることが殆どできなかった。

アントニオ・リュディガーとアンドレアス・クリステンセンが試合の大半でサイドに開き前線に攻撃参加もしていたことからも、彼らはセンターバックというよりもウイングのように見えた。そして先制点のシーンでプリシッチにロングボールをフィードしたのががリュディガーだったのは偶然ではないだろう。

彼らポジショニングのおかげで、2人のウイングバック、特にセサル・アスピリクエタがより中に入り、普段よりも狭い範囲でプレーできるようになっていた。アスピリクエタがセンターフォワードの位置でディフェンダーの肩に乗ってボールを奪う姿は意外ではあったが、特に前半彼の攻撃参加が目立った。