チェルシー女子は、サム・カーの2ゴールとエリン・カスバートの得点で、記録的な大観衆の前でマンチェスター・シティとの緊迫した決勝戦を制し、4度目のFAカップ優勝を飾った。

この大会の歴史において、お互いに過去6回優勝している強豪同士の対戦となったが、この日は、先週リーグ3連覇を果たしたチェルシーの日だった。

決勝では、チェルシーが2度リードするものの、両チームともに優勢な時間帯があり、延長戦でようやく勝負の行方が決まるというスリリングな展開となった。

マンチェスター・ユナイテッドを破り、WSL優勝を決めた試合で決めた2ゴールに続き、ウェンブリー・スタジアムで決めたのは、おなじみのカーだった。

ミリー・ブライトが右サイドからクロスを上げたが、エリー・ローバックがボールの行方を見誤ったため、そのままゴールに入る可能性もあったが、適時に適切なポジションにいたカーが楽にボールをつめて先制点を決めた。12月に行われたFAカップでアーセナルを破り優勝したときと合わせると、このオーストラリア人選手の国内決勝戦での得点は4試合連続となる。

しかし、シティは反撃に転じ、ハーフタイム前にローレン・ヘンプのゴールで同点に追いついた。ヘンプはブライトの内側に切れ込み、アン・カトリン・ベルガーをかわしてファーサイドの隅にカーブのかかったシュートを決めた。その後、マン・シティの猛攻をしのいだブルーズは、カップ戦の決勝に相応しい素晴らしいゴールで再びリードを奪った。

ボールはゴールから25ヤードにいたエリン・カスバートに送られたが、彼女の頭にあったのはただ1つだった。ディフェンスに囲まれ、シュートを打つ時間はほとんどなかったが、なんとか力を振り絞りシュートを放ち、ボールはクロスバーに当たって跳ね返りながら、ゴールに包まれた。

このゴールは、このような重要な試合を締めくくるにふさわしいものであると思われたが、フルタイムの最後の1分間に、交代出場したシティのヘイリー・ラソが裏から回り込んでベルガーの前にゴールを決め、土壇場で同点に追いついた。

延長では、ガレス・テイラー監督率いるシティが後世に出るが、アラナ・ケネディのミスによりできたスペースにカーが走り込み、フレミングと共にディフェンダーと2対1となる。カーは自分でシュートを放ち、これがDFのアレックス・グリーンウッドに当たってローバックを超え3点目となった。

マンチェスター・シティとのコンチネンタル・リーグカップ決勝で敗れたチェルシーは、その雪辱を5万人近くの観客が入ったウェンブリーというイギリスサッカー界最大の舞台で果たすことができた。そして、4度目のWSLとFAカップの2年連続のダブルを達成した。実際、過去6回の国内トロフィーのうち5回はチェルシーが獲得している。

この8月で、エマ・ヘイズが、一度もトロフィーを手にしたことのなかったクラブを率いてから10年になる。今、ブルーズはトロフィーを獲得することを止められないのだ。

マンチェスター・ユナイテッドに逆転勝ちしてWSLタイトルを獲得してから1週間、ヘイズはその試合で先発した9人のメンバーをそのまま起用した。ヨナ・アンデションとニアム・チャールズの2人はベンチに下がり、アニーク・ノウウェンが先発した。つまり、アンデション、チ・ソヨン、ドリュー・スペンスの3人は、ブルーズとしての最後の試合でベンチ入りとなり、2月末以来初めてメンバー入りしたフラン・カービーもサブスタートとなった。

GKはベルガー、守備はジェス・カーター、今シーズン39試合すべてに先発出場しているブライト、ノウウェン、マグダレーナ・エリクソンの4バックを敷き、ボールを持った時にはすぐに3バックに切り替わった。中盤はソフィー・イングル、カスバート、グロ・ライテンに加え、ペルニル・ハルダーがトップ下で起用された。攻撃陣にはベサニー・イングランドとカーが並んだ。

試合はまずシティが優勢に進める。キャロライン・ウィアーがチャンスをうかがうと、最後の砦となったブライトがヘンプとジョージア・スタンウェイの攻撃を防ぎ、5分以内の失点を免れた。

しかし、それ以外は、前半の20分間はどちらもほとんどペナルティ・ボックスでのプレーはなく、あっという間に過ぎていった。試合前にヘイズが言っていた「チェスマッチ」の予言が、昨日の男子FAカップ決勝の日差しが消え、雨のウェンブリー・スタジアムで目の前で繰り広げられていた。

両チームとも激しいチャージを仕掛け、ケネディは無謀なプレーでこの試合最初のイエローカードをもらう、そして、マンチェスター・シティはこのイエローカード以上にダメージを受けることになる。

最初のセットプレーは処理されたが、ブルーズはボールをキープし、ブライトが右からクロスを入れると、ローバックは処理できず、そこにカーが飛び込んできて、わずか1ヤードの距離からボールをゴールに押し込み、最近の得点の傾向を継続させて先制点を奪った。このゴールは、カーのタッチがなくても入っていた可能性が高く、選手たちはすぐにブライトに駆け寄って祝福した。

それまでの30分あまり、ほとんどチャンスを与えなかったシティが、ビハインドを負ってから1分以内にまたもやピンチに陥りかける。チェルシーの攻撃陣から激しいプレッシャーを受け、ピッチの高い位置でボールを奪われたが、カスバートの遠くからのループシュートは枠をはずれゴールとはならなかった。

イングルがマンチェスター・シティのミッドフィルダーとの空中戦で鼻を強打し、試合は一時的に中断される。その間にチェルシーの勢いは止まり、その隙を突いて相手が同点に追いついた。ヘンプはブライトの内側に切れ込み、ファーサイドにカーブをかけてゴールに流し込んだ。

チェルシーと同じように、ゴールを決めてから攻勢に出たシティだが、ベルガーは危険なクロスに全力で対応し、カーターは体を張ってスタンウェイの強烈なシュートを防いだ。

3分間のアディショナルタイムの後、レフェリーのカースティ・ダウルがハーフタイムの笛を吹いた。シュートは1本ずつ、ゴールは1点ずつ、両者とも優勢な時間帯があった。

ハーフタイムの選手交代はなかったが、シティは前半の好調を維持し、再開後5分以内にチャンスを掴む。ヘンプがディフェンダーの裏のスペースに走り込むが、ベルガーが素早く出てきてなんとかセーブする。

後半序盤のシティの猛攻を凌いだチェルシーは、試合開始直後と同じように再び優位に試合を進められるようになった。ライテンのクロスはルーシー・ブロンズの背中をかすめ、ファーポストにはわずかに届かなかったが、その次の瞬間にウェンブリーでのFAカップ決勝の歴史に残るだろう素晴らしいゴールが生まれる。

ゴールから25ヤードのところでボールを受けたカスバート。そこからのゴールチャンスはほとんどないように見えたが、それまでの1時間の大半をフィールドの反対側で働き、貢献してきた彼女は、自らの運を試すチャンスだと考えたのだろう。右足で放たれたボールは、クロスバーに触れながらゴール隅に向かい、ゴール裏へ突き刺さった。ウェンブリー・スタジアムが沸き立ち、カスバートもスポットライトを浴びた瞬間を味わった。彼女の表情がすべてを物語っていた。

再びリードを奪ったヘイズ監督は、最後の出番となるチ・ソヨンとチャールズをイングランドとノウウェンに代えて送り込む。韓国人MFがフィールドに駆け上がると、スタンドからは大きな歓声が上がり、彼女が8年間、このクラブでいかに高く評価されてきたかを物語っていた。しばらくして観客数が発表されると、女子FAカップの決勝戦としては新記録の観客数となり、騒ぎはさらに大きくなった。

ブルーズはディフェンスを固め、プレッシャーをかけていが、カウンターを恐れるシティは効果的な攻撃ができず、残り12分、チェルシーはハルダーがライン際でロングボールを受け、チからのリターンボールを受けてカーにパスを出す。カーはキックを失敗したが、ライテンが右足で放ったシュートはファーポストをかすめた。

これがハルダーの最後のプレーとなり、フレミングが交代出場する。そして、シティはラソ、エレンホワイト、そして2015年のFAカップで優勝した元チェルシーMFのローラ・クームズを投入した。

これで終わりかと思われた矢先、右から左へのロフトパスがラソの胸に入り、ラソはエリクソンを急襲すると、カーブしたボールがベルガーを超えてファーサイド隅に突き刺さった。

勝利まであと数分と迫っていたが、突然、延長戦まで持ちこたえることになった。フルタイム終了までシティの勢いのある攻撃を抑えるために、ブルーズは持ち前のディフェンス力を発揮しなければならかった。

延長に入るとライテンに代わってアンデションが入ったが、立ち上がりが悪く、シティに先制点を与えそうになる。ベルガーが果敢なプレーでなんとかホワイトのチャンスを防ぐが、これはストライカーの方にミスがあったようにも見えた。

チェルシーは自陣から出ることに苦労するが、ケネディのミスにより、カーは1度だけチャンスを得ることができた。ケネディがロングボールのバウンドを見誤り、カーがフレミングと共にDFと2対1になる。カーはそのまま自分でシュートを放ち、これがグリーンウッドに当たって大きく曲がり、ローバックの足元をかすめて3度目となるゴールを奪った。史上最高の試合となりつつあったカップ戦決勝で、またしても驚くべき展開があった。

その後、ベルガーを苦しめるようなシュートはなかったものの、シティは冷静さを失わず、前後半どちらでもチャンスを作った。

延長戦の終了間際、チがマレン・ミェルデと交代、チェルシーは少しでも時間を稼ぎ、さらに守りを固めようとする。ロスタイムの最後の20秒、カーがコーナーフラッグまで走り、フリーキックを得たとき、それは彼女を完璧に要約したものだった。勝負師であり、チームのために容赦のないプレーができるのだ。

フルタイムのホイッスルが鳴り、チェルシーが4回目のFAカップ優勝を決めた。120分という長い時間の後、選手たちはまだ喜びの余韻に浸っていた。彼女たちは全力を尽くし、女子サッカー界の最高峰に再び上り詰め、イングランドを代表するクラブであることを証明したのだ。

チェルシー (4-3-1-2) :ベルガー;カーター、ブライト、ノウウェン(チャールズ69)、エリクソン(C);カスバート、イングル、ライテン(アンデション91);ハルダー(フレミング80);カー、イングランド(チ69、ミェルデ118)サブ:ムソビッチ、カービー、ジェイムズ、スペンス得点者:カー33、99、カスバート63警告:カーター 81

マンチェスター・シティ(4-3-3) ローバック;ブロンズ、ケネディ、グリーンウッド(c)、ストークス(ブラクスタ83);スタンウェイ(クームズ80)、ウォルシュ(ロサダ118)、ウィアー;ケリー(ラソ76)、ショー(ホワイト80)、ヘンプサブ:キーティング、アンゲルダール、パーク、メイス得点者:ヘンプ 42、ラソ 89警告:ケネディ31、ブロンズ54

主審:カースティ・ダウル

観客数:49,094